
今回は「フナにとって水生植物はどんな存在か」について解説していきます。

水草って、水槽や池をきれいに見せるためのものだと思っていました。

もちろん見た目の美しさもありますが、フナにとっては隠れ家や産卵場所、エサ場にもなる大切な環境です。

なるほど。水草を見ることで、フナが暮らしやすい水辺かどうかも考えられるんですね。
フナにとって水生植物はどんな存在か
水生植物は、フナにとって単なる「水の中に生える植物」ではありません。そこは、身を守り、卵を産み、エサを探すための大切な生活空間です。
特に小さなフナや稚魚にとって、水草の茂みは外敵から身を隠す場所になります。
広い水面をただ泳いでいるだけでは、鳥や大型魚に見つかりやすくなりますが、水草の間に入り込むことで安全に過ごしやすくなります。
また、フナは産卵期になると、水草や岸辺の植物に卵を付着させることがあります。
植物の茎や葉は、卵を水中に固定するための足場にもなるのです。
さらに、水草のまわりには水生昆虫、微生物、プランクトンなどが集まりやすく、フナにとってのエサ場にもなります。
つまり、水草がある場所は「隠れ家」であり、「産卵場所」であり、「食事場所」でもあります。
一方で、水草は多ければ多いほどよいわけではありません。
増えすぎると泳ぐ空間が狭くなり、水中の酸素や光のバランスにも影響します。逆に少なすぎると、隠れ場所や産卵場所が不足します。水生植物の量や種類を見ることは、フナが暮らす水辺の状態を知る手がかりにもなるのです。
水生植物の棲み分け
水生植物は生活型の違いによって分類されます。
水際の湿地から水中まで、いくつかのグループに分けられます。
イネやワサビ、セリ、サギソウ、ミズバショウなどの身近な植物も水草の仲間になりますね。
沈水植物



水生植物のうち、植物体全体が水中にあり、水底に根を張っているものを指します。
バイカモ、ホザキフサモ、クロモ、エビモなどの他に、シャジクモのような藻類も含まれます。アクアリウムで用いられるものは大半がこちらになります。
沈水植物の特徴としては、一般的な植物が空気中で呼吸を行うために必要な「気孔」をもっていません。
その代わりに水中の表皮細胞が直接ガス交換や栄養の吸収を行なっています。
また、この種類の植物の葉は沈水葉という普通の植物の葉とは大きく異なった特徴があります。
この葉の表面には蝋や脂肪酸を多く含む「クチクラ層」が発達しませんので、空気中では水分を保てずに枯死してしまいます。

一応、水面上で開花し実をつける種が多いですが、水中で開花して受精する種類や植物の切れはしから伸びて生長する植物もいます。
冬になると越冬するための小さな株が水底に沈み、来年の春に発芽して新しい個体となります。
この植物のメリットとしては水深が深い場所でも生育できると言うことでしょうか。水面に葉を浮かべ水底に根を張る「浮葉植物」だと水深が深い場所に根を張って茎を伸ばすのは難しくなりますからね。
逆に水域の透明度が低く、光量が少ない水域では苦手です。
一応、湖沼の富栄養化によって植物自体の生長を促すこともありますが、植物プランクトンが大量発生すると水中の光の量が不足していき、光合成作用が衰え流だけでなく、プランクトンの死骸を分解するために酸素が使われて水中の酸素が欠乏していきます。
また宅地開発や森林伐採などで泥水が流入して水が濁ると、沈水植物は光合成の効率が落ちてしまい急速に消滅してしまいます。
そのため、比較的流れのあり、透明度の高い水域では沈水植物が多い印象ですね。

水深の浅くて流れのある用水路にはセキショウモやオオカナダモが生えており、その水草の中にフナが隠れているというイメージが私の中では強いですね。
沈水植物とフナ
沈水植物は、水中に茂るため、フナの稚魚や小型魚の隠れ家になります。
また、水草の周囲には小さな水生昆虫や微生物も集まりやすく、フナにとってはエサ場としても機能します。
ただし、水が濁りすぎると沈水植物は光合成がしにくくなり、減少してしまいます。
つまり、沈水植物が豊かな水域は、ある程度透明度が保たれた水辺であるとも考えられます。
- クロモ
- マツモ
- ネジレモ
浮遊植物


水中あるいは水上でただよっているもの。
根が水底に固着せずに水中や水面を浮遊している植物です。
根を張らずに必要な栄養塩類を水中から吸収するため、富栄養な水域で繁茂することが多いですね。
浮遊植物と言っても二種類あり、ウキクサやホテイアオイのように水面上を浮遊ガス交換や光合成の方法が浮葉植物と共通しています。
一方でムジナモやマツモのように水面下に浮遊している種はこうした機能が沈水植物と共通していますが、
また植物プランクトンも維管束を持っていないので植物という括りではありませんが、水中を漂っていることからも浮遊植物に含まれますね。
その生育の状態から浮水植物、浮漂植物、浮表植物とも言われる。
日本原産の浮遊植物としてはサンショウモやアカウキクサは、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧II類(VU)とされている。
外来の浮遊植物としては、富栄養化した各地の水域で大繁茂するホテイアオイや、南西諸島から関東地方にかけて定着しつつある亜熱帯原産のボタンウキクサなどがある。
この植物は水中に根を出しているので、メダカなどはその根を産卵礁として利用することがあり、ホテイアオイなどは販売されていることも少なくはありませんね。
他の植物と比較して底土が不要と言う手軽さもあり、ビオトープなどで使用されることも少なくありませんね。
その反面それなりの光量と栄養塩が必要なので、アクアリウムではあまり使用される機会は少ないですね。
浮遊植物とフナ
ウキクサやホテイアオイのような浮遊植物は、水面を覆うことで日陰を作ります。
適度であれば魚の隠れ場所になりますが、増えすぎると水中に光が届きにくくなり、酸素不足の原因にもなります。
フナは比較的たくましい魚ですが、水面が完全に覆われた池では環境が悪化しやすいため、浮遊植物は「ほどほど」が大切です。
- ホテイアオイ
- ウキクサ
- タヌキモ
浮葉植物


水底の土に根を張って主に葉が水上に出ているもの。
次に紹介するのは浮葉植物です。その名の通り「水面に葉を浮かべ、水底に根を張った植物」です。水面に浮かぶ浮葉と水中に沈む沈水葉(水中葉)の両方を持つものも含みます。
オニバス、ヒツジグサ、ジュンサイ、ヒシ、ヒルムシロなどがある。
一般的には水深1〜1.5mの水域で生育していることが多く、葉の柄は水深に応じて伸長して行きます。
水面に葉を浮かせている都合もあり、強い流れや荒い波が生じるところでは生育が適していません、そのため、水面が静かな池沼だけにみられる植物ですね。
植物群落としては、水面下には沈水植物が生育している階層構造を示すものが多いですね。
浮葉植物は沈水植物と同じように水質や池底の土壌環境の影響を受けやすい特徴があります。
そのため、家庭排水の流入や廃棄物の投棄によって水質が悪化したり、
水辺の護岸工事や工事による土砂採取、周辺部の開発に伴って水域の水位が変化することにより簡単に枯れてしまいます。
アクアリウムとして
浮葉植物は水面のみに葉を広げ、増える際には横に広がることや水中部分にはほとんど茎しかないこと、生育するためにはそれなりの光量が必要なことからも、一部の種類を除いてアクアリウムで用いられることは少ないですね。
ビオトープなどで姫睡蓮などが魚の隠れ家や花の鑑賞として使用されることが多いです。
浮葉植物とフナ
葉の下は日陰になり、フナや小魚が身を隠す場所になります。
また、葉のすき間から魚影が見えるため、観察する側にとっても「水辺に魚がいる気配」を感じやすい植物です。
- ヒシ
- スイレン
- アサザ
抽水植物


水底の土に根をはって体の大部分が水上に出ているもの。
水生植物のうち、水底に根を張り、茎の下部は水中にあるが、茎か葉が水上に突き出ている植物を言います。挺水植物ともいう。
種類としては一般的にはヨシやガマ、マコモ、コウホネなどがありますが、
アシカキのように伸びた茎が水面に浮んで匍匐する「半抽水植物」
シオクグのように汽水域の潮間帯に生育する植物も含まれます。
この植物は浮葉植物よりも浅い場所で生育していることが多いですね。だいたい水深が0.5〜1m程度の岸近くの水辺に生えており土壌が乾燥しない限り生存できます。
抽水植物の茎や葉には、根に酸素を供給するための通気組織が発達しています。
水上葉の構造や機能は基本的に陸上植物と同じですので、全体が冠水してしまうと枯れてしまいます。
現在は護岸工事などにより水辺の改変や埋め立て、周辺地域の開発に伴う地下水位の変化や水質悪化により、各地で抽水植物群落が消失しています。
抽水植物とフナ

浮葉植物と比較すると浅い場所に植っていることや、水上葉で葉が横に広がっていないことからも湖や河川の岸辺に密集して自生している姿を見ることができます。
大抵、その抽水植物の根本部分は小魚のすみかや産卵礁として活用されますから、この植物の根本を見ているとワクワクしますね。
アクアリウムで利用されることは少ないですが、「アクアテラリウム」では陸地部分に採用されることも少なくありません。
また、睡蓮鉢を用いたビオトープで使用すると立体感が出て良いですね。
- ハス
- コウホネ
- ヨシ・ガマ
湿生植物


湿った土に生活しているもの。
最後に紹介するのは湿生植物です。
こちらは地下水位が高くて停滞している水に覆われたり、一時的に冠水したりする湿潤地に限って生育する植物になります。
このような場所に普通の植物が生息してしまうと根腐れして枯れてしまいますから、それなりに特化している植物といえますね。
池や沼の岸にみられるアシ、ガマ、マコモなどがもっとも代表的な種です。
また、カヤツリグサ科のスゲ属、ホタルイ属、ハリイ属、アヤメ科、イグサ科などにも湿生植物が多いですね。
湿潤地は泥によって通気性の低く緊密な土壌ですし、水が浸かっている環境のため通気が悪いので植物の根の発達は一般的なものと比べると貧弱であるものが多いです、それでもなかには通気組織が発達している植物もあります。
かくいう私もこの植物があると近くに水辺があると思いワクワクします。
また、この植物があると大抵土がぬかるみだしますので見かけたら足元を注意しましょう。
湿生植物とフナ
湿生植物そのものが水中にあるわけではありませんが、「ここは水辺に近い場所だ」と示す目印になります。
湿生植物が見られる場所の近くには、池、湿地、用水路などがあり、そこにフナが生息している可能性もあります。

フナを探すとき、魚だけでなく周囲の植物を見ることも大切なんですね。
- ハナショウブ
- ミソハギ
まとめ

今回は「フナにとって水生植物はどんな存在か」について解説していきました。

水草はただ生えているだけではなく、フナの生活を支える場所でもあるんですね。

その通りです。小さなフナの隠れ家になったり、卵を産みつける場所になったり、水辺の環境を知る手がかりにもなります。

これから池や水路を見るときは、魚だけでなく水草にも注目してみたいです。


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