フナから感染する一番怖い寄生虫!?|有棘顎口虫

寄生虫学

今回はフナに感染する寄生虫の中から「顎口虫」について解説していきます。

顎口虫の特徴や感染経路と感染した症状
最後には寄生虫感染の予防方法についても解説していきますので、ぜひ最後までお読みいただき正しい知識を持ってくださいね。

有棘顎口虫
Gnathostoma spinigerum Owen,1836

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有棘顎口虫は線虫の一種で、主にアジアやオセアニアに分布しています。
顎口虫属の寄生虫は国内では4種が報告されており、有棘顎口虫のほかにも「剛棘顎口虫」、「日本顎口虫」、「ドロレス顎口虫」が存在しています。
顎口虫の第1中間宿主はケンミジンコで、第2中間宿主はライギョ、コイ、ドジョウ、ナマズといった淡水魚やカエル、ヘビなどです。

顎口虫の特徴

顎口虫の成虫は、一般にイヌやネコなどの胃や食道の壁に寄生します。
第2中間宿主として淡水魚にも幼虫が寄生していますから、フナをはじめとする淡水魚を生食することで感染する可能性もあります。

戦後、ライギョの生食による健康被害が多数報告されていた。1980年代以降には、輸入された外来種のドジョウの「踊り食い」により剛棘顎口虫に罹った例が100件近く報告されています。
近年の感染事例としては2022年に青森県で約300症例の報告がありました。
これはシラウオを加熱せず生食したことが原因とされています。

顎口虫の一生(生活環)

先ず宿主から排泄された顎口虫の卵は、水中で孵化し水中を漂い、第1中間宿主であるケンミジンコに食べられます。
次にライギョやドジョウなどの第2中間宿主の魚に食べられることによって魚への寄生します。
寄生部位は「魚の筋肉」ですから、顎口虫の幼虫が生存している刺身を食べることによって人間も感染してしまうのですね。
基本的には輸入ドジョウやヘビの生食による報告がありますが、フナもケンミジンコを食べますからね、絶対に寄生されていないとは言い切れません。

顎口虫症

顎口虫症は「顎口虫」に寄生させることによる寄生虫性感染症です。
ヒトの体の中に入った顎口虫の幼虫は、胃の壁を食い破って肝臓に達し、その後は体内を自由に動き回ります。
そして、身体の表面に近い部位に移動することにより皮膚にミミズ腫れにちかい症状がおきます。
多くの例では痒み程度ですが、寄生する部位によって非常な痛みを伴う出現します。
また、体内を自由に動きまることから、幼虫の侵入部位によっては重篤な症状を引き起こすことも少なくありません。
目に入り込んでしまい失明したり、喉の中に入り込み喉が腫れてしまい呼吸困難に陥った事例もあります、頭の中に入り込んで脳障害を来した例なども報告されていますから油断は禁物ですね。

治療としては、虫体を手術して摘出することですが、侵入部位によっては難しいとされています。
薬物による療法としては、アルベンダゾールやイベルメクチンなどが使われています。

予防法

予防法には以下の方法があり、淡水魚などについては生食を避けることでしょう。中心部までしっかりと火を通し、寄生虫を死滅してから食べましょう。
また、-20℃で3~5日間冷凍保管すれば寄生虫が死滅することもできますので、適切に温度管理された淡水魚を食べることも重要です。

まとめ 

顎口虫に関して一番怖いのは確実な治療法がないことでしょう。

また、第1中間宿主もどこにでもいるケンミジンコですから、どこの水域の個体でも寄生するリスクがあると言えるのは恐ろしいですね

この寄生虫に対しては予防が非常に大切です。

淡水魚の生食は完全に安全とは言い切れないので注意していただきましょう。

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