孵化した稚魚の餌付け飼料として、ミジンコに勝るものはないとされています。
ミジンコの確保によっての仔魚の成長は左右されますので、是非とも準備しておきましょう。
稚魚はミジンコが大好き
孵化した稚魚は全長5mm程度と非常に小さいです。
生まれてすぐの状態はお腹の卵のうから栄養を取り込みながら数日間は容器の底でじっとして泳ぐことはありません。
そして、卵黄の栄養を吸収し尽くすとエサを求めて泳ぎ出します。
こうした稚魚は、配合飼料を与えてもなかなか食べてくれません。稚魚には、どうしても生餌が必要なのです。中でも最もいいものはタイトルに書いてある通り「ミジンコ」でしょう。
このミジンコを確保できるかどうかが、
稚魚を飼育の成功に大きく関わってきますね。
ミジンコとは
ミジンコは、水中でプランクトンとして生活する微小な甲殻類になります。
ミジンコには大きく3つの種類があり、それぞれミジンコ、カイミジンコ、ケンミジンコが存在します。
生態
ミジンコは日本全国の浅い湖沼、田んぼにも生息しています。
ミジンコにはクローンのように増える単為生殖期と交配して子孫を残す有性生殖期の2種類があります。
基本的には単為生殖で増加し、一度に50~60個の卵を生みます。そして孵化したミジンコは6~7日で成虫となり、3~4日ごとに連続して産卵していきます。
しかし、水温が15~25℃の範囲を超えて適正でない場合や水中の栄養分が不足したり水質が悪化したりすると、オスミジンコが発生し有性生殖をします。
こうした卵(冬卵)を産むと繁殖が停止してしまいます。
この冬卵はある程度の低温や乾燥にもよく耐えて環境条件がよくなると、また繁殖をはじめます。
養殖業者のミジンコ繁殖方法
ここからは、養殖業者が行っているミジンコの繁殖方法について解説していきます。
家庭ではそこまで行うのは難しいですが、この方法からミジンコを確保する方法について学んでいきましょう。
養殖業者はミジンコ専用の池を作ってそこで稚魚を育てています。
ミジンコの繁殖にはフナの採卵予定日の15~20日以内から準備をしておきます。
あらかじめ、稚魚を入れる池の水を排水しておき、消石灰を散布して養魚池の消毒と雑魚の駆除を行い、蓄積している有機物の分解を促すようにします。
その後、ミジンコの餌となる肥料を散布していきます。
一般には鷄糞、醤油粕、米ぬか、堆肥などが使われることが多いです。
肥料の量は使用する肥料の成分や池の状態(底質、水質、水深、水保ちの良否)及び気象条件などに異なります。
池底の状態は砂礫の場合は多めにして、泥質のところでは少なする必要がありますね。
肥料をまいた後は日光を当てて4~5日後に池の水を30cmくらい張り溜めておくと、
水の色が褐色となり、4~5日もたてば緑色を帯びてくる。
これは微細藻類や原生動物や藻類が繁殖したので肥料の効果が現れてきたのである。
さらに養魚池の深さに応じて注水すると多量にミジンコが発生してきます。
この場合も、雨などで池水の増幅も考慮して水位を決めるそうです。
この状態になったら稚魚をミジンコの繁殖している池へ放流します。
ミジンコが少なすぎると、植物プランクトンの量が多くなりすぎて気泡病の原因になり、へい死してしまいます。
ミジンコは量の管理が大変だそうですね。
一般家庭でもできるミジンコの確保の方法
ミジンコはため池や沼、田んぼにたくさん生息していますから、近くにそういった水辺のある人は、網とバケツを持って採集に行ってみましょう。
網と言っても魚を取るような目の荒い網ではミジンコをすくうことはできません。
プランクトン用の目の細かい網を使用するか、ストッキングなどを用いて網を自作してみましょう。
ミジンコを採集できたら水を貯めた大きめの容器へ移し、ミジンコの餌となる醤油カスや鶏糞などを加えて放置しましょう。
3週間ほどすれば容器の中にミジンコが大繁殖していきます。
この作業はフナが孵化する時期を予想して前もってしておきたいですね。
稚魚はミジンコを食べてどんどん成長していきます。1日に5〜6回に分けてエサやりを行い常に満腹にさせていきましょう。
代用品
ブラインシュリンプ
どうしてもミジンコがてに入らない環境の方は、市販されているブラインシュリンプでも代用ができます。少々高価ですが、乾燥卵として販売していますので、長期保存がききます。
- 孵化の仕方は3%の食塩水に乾燥卵をいれる
- エアレーションをしながら水温を28℃に保つ
- 1〜2日で孵化します。
孵化したら生餌としてミジンコと同様に与えていきましょう。
ゆで卵の黄身
また、昔からある方法ですがゆで卵の黄身を水に溶かして霧吹きであたえる方法などもあります。
卵の卵黄には栄養素が非常に多く含まれていますので、稚魚も効率よく成長することができます。
この方法は水が汚れやすいですので、頻繁に水換えをする必要があります。
稚魚が成長したら何をあげる?
フナが孵化して2週間ほど経過すると体長は1.6mmを超え、見た目がフナらしくなります。
歯が発達して固いカイミジンコも食べるようになりますね。
飼育して二週間ぐらいしたら少しずつフナに配合飼料にならせていきましょう。
とはいっても、稚魚は口が小さいので、最初は粉末状のエサしか食べることができません。配合飼料に切り替えたら始めのうちは消化のよいエサを控えめに与えていきましょう。
配合飼料だけでなく、アカムシや小さく切ったイトミミズを与えると早く大きく成長しますよ。
まとめ
稚魚の頃はいかにエサを食べて大きくなるかが重要ですので、エサの確保は産卵作業と並行して行っていきましょう。
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