今回は田んぼに生息しているプランクトンについて解説していきます。
田んぼにいるプランクトンはフナにとっての貴重なエサとなります。
そのプランクトン自体はどのように増え、そして食べられていくのでしょうか。
これを読めばフナのえさとしてのプランクトンを知ることができます。
田んぼに生息しているプランクトンの種類
田んぼに生息するプランクトンには、植物性プランクトンと動物性プランクトンの両方が含まれます。代表的な種類は。
田んぼのような淡水環境には多様なプランクトンが生息しており、これらは水質の指標としても重要です。また、稲田の生態系全体における栄養循環や生物多様性の維持にも寄与しています。
田んぼに水が入ると
田んぼに水が入ると、 顕微鏡的なサイズのワムシや繊毛虫がたくさん発生して、フナの稚魚は最初のエサになります。
さらに顕微鏡の倍率を上げてみれば、もっと小さな生物がたくさん発生していることがわかります。
比較的目につきやすいのは植物プランクトンです。
水が入って1週間ほどで、水1mLあたり1万細胞まで増えることがあります。
ミドリムシや緑藻のなかまは水面に泳ぎ回ってくるので、風下に引き寄せられて濃縮され、水面を緑色に染めることがあります。
土の上に張り付いて、生活するケイソウ類も、水が入ると急激に増えていきます。
1週間ほどで1m㎡ 辺1万細胞以上にまで増えていることがあります。最初はササノハケイソウのなかまばかりのことが多いですが、やがて多様な種類が増えてきます。
より小さいところでは、HNFという 鞭毛虫が発生します。 この虫は鞭毛を用いて 泳ぐ長さ2〜20μmほど小さな単細胞生物で、 バクテリアなど食べて生活しています。
田んぼに水を入れて1週間後には1m Lあたり10万細胞近くにおよぶことがありますが、その後は減少するようです。
さらに小さく、いっそう数が多いのはバクテリアです。
0.3μmほどの小さいものから、長さ数10μmにおよぶ糸状体をつくるものまで、大きさは様々です。田んぼの水中には普通、1m Lあたり100万細胞ほどが生息しています。
ここで取り上げたごく小さな生物たちは、ほとんどフナの仔稚魚の餌になる事はありません。
しかし、ミジンコなどの餌になることで、フナが育つ水田環境の基礎となっています。
田んぼのミジンコの代表|タマミジンコ
ミジンコの中で、田んぼの中に水が入ると、真っ先に増えてくるのがタマミジンコです。メスは背中にたくさんの卵を背負っていて、まるで玉のように丸くなるので、この名前がつきました。
田んぼに水がない時期には、土の中で「耐久乱」として眠っていて、田んぼに水が入ると発生を始めます。
水中を漂っているバクテリアから小さい繊毛虫まで、何でもろ過をして食べてしまいます。
25℃くらいの高水温でエサがたっぷりあると、わずか3日で子供を産み始めます。そのためタマミジンコは田んぼで大発生することが多く、水がミジンコで赤っぽく見えることもあります。
一方で タマミジンコには、他の動物に食べられやすいと言う弱点があります。
理由としては透明感に乏しいため水中で目立ちやすく、動きが遅めで捕まえやすく、さらには殻が柔らかくて消化も良いので、食べやすいのも無理はありません。
もちろん、田んぼに生息しているフナの仔魚にとっては最高のエサになります。
なお、田植えから1ヵ月ほど経って、田んぼに様々な生き物が増えてくると、虫がいない田んぼでも、タマミジンコは減り、代わりに他のミジンコが増えてくることが多いようです。
田んぼのカイミジンコ
カイミジンコは、2枚貝のような殻に包まれた、小さな甲殻類の仲間です。
田んぼでは人よりも多くなることがあります。体長1m l前後の大きさで体の色は透明ではない。白や黄色の丸っこい生物が、田んぼの上で泳ぎ回っていたら、それがカイミジンコです。
ほとんどのカイミジンコは雑食性であり、普段は生物の死骸や付着草類などを食べていますが、生きている動物に 襲いかかって食べることもあります。
カイミジンコの殻も砕くフナの歯
卵から孵ったばかりの魚は、鱗やヒレが未発で外見も成魚とは大きく異なります。体内も様々な機関が見発達でこの段階の個体を仔魚といいます。
フナの場合は8mmくらいから体のつくりが徐々に変化して、体長が16mmくらいになると、成魚とほとんど同じ構造の体となります。
このように成魚とほぼ同じ作りになった段階の魚を稚魚と呼びます。
フナは仔魚から稚魚になっても、相変わらずカイミジンコよりミジンコを好んで食べます。
しかし、稚魚はミジンコが少なくなれば、カイミジンコも食べます。土の上でカイミジンコを吸い込んで、喉の奥の咽頭歯で噛みつぶして食べてしまうのです。
すると生息した田んぼでは、ミジンコに続いてカイミジンコも減っていきます。
田んぼの中干し前にはミジンコが捕食されほとんどいなくなっているいることもあります。
田んぼに生息するカイアシ類
カイアシ類は大きく分けて、ソコミジンコ目、ヒゲナガケンミジンコ目、ケンミジンコ目の 3つのグループがあります。
種類もノープリウス幼生と言う、成虫とはずいぶん違った姿で生まれてきて、脱皮とともに姿を変えて成体になっていきます。
田んぼで最も数が多いのは、ケンミジンコ目です。
このケンミジンコ目は、ノープリウス幼生の時は植物プランクトンを食べていることが多いのですが、成体になるとほとんどが肉食性になります。
自分とあまり大きさが変わらないミジンコやボウフラなどを襲って食べることもあります。
カイアシ類は魚が近づいてくると、大きくはねるように逃げるので、ミジンコ類よりも食われにくいようです。そのためかフナが育った田んぼでもあまり数が減る事はありません。
田んぼで多い昆虫|ユスリカ
田んぼの水生昆虫で最も量が多いのはユスリカの幼虫です。
田んぼの1c㎡あたり数匹いることがあります。水が入った田んぼにやってきて、ユスリカが産卵し、早ければ2週間ほどで卵から成虫まで育ちます。
フナの稚魚にもよく食べられるのですが、そのために数を大きく減らす事はありません。
それは成虫が次々とやってきて産卵をするためでしょうね。
ユスリカが多く発生する田んぼの上には、ユスリカを食べるためにツバメやアブラコウモリが集まってきます。また、捕食性昆虫やクモなどもユスリカの天敵が食べて増えるため、文化などの被害が抑えられるとも言われています。
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