今回はゲンゴロウブナが餌として食べている植物プランクトンについて解説していきます。
ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)は、雑食性のフナではありますが、様々な種類の植物プランクトンをエサとして摂食しています。
一体どんな種類があるのでしょうか、みてみましょう。
植物プランクトンの種類
ゲンゴロウブナが食べる代表的な植物プランクトンとしては4種類存在しています。
- 藍藻類
- 緑藻類
- 珪藻類
- ユーグレナ
藍藻類

まず紹介するのは藍藻類です。シアノバクテリアとも言われています。
藍藻類の一番の特徴としては核を持たない単細胞というところでしょうか。他の植物プランクトンと比較して細胞に核や膜に包まれた細胞小器官を持ちません。しかし、内部にはチラコイド膜と呼ばれる光合成を行う膜を持っています。
また、藍藻類は環境の適応性が高く、水温が高い環境な塩分濃度が高い環境でも生息できるのが強みでもありますね。
また、アナベナなどの一部の藍藻類は「窒素固定」という機能を持っています。これは空気中の窒素をアンモニアに変換して利用でき、栄養分の少ない環境でも生育が可能になります。
主な種類
- アナベナ(Anabaena)
鎖状に連なる細胞からなるフィラメントを形成し、窒素固定能を持つ種もあります。稲田などでしばしば見られます。 - ミクロキスティス(Microcystis)
球形の細胞がコロニーを形成し、アオコの原因となることが多いです。大量発生すると水質悪化を引き起こすことがあります。 - ノストック(Nostoc)
ゼラチン質のマトリックスに囲まれたフィラメント状の細胞を持ち、土壌や湿地などに生息します。窒素固定能を持つ種も多いです。 - シネキュッコカス(Synechococcus)
単細胞または短いフィラメント状の形態を持ち、淡水から海水まで広範囲に分布します。光合成能力が高いです。 - スピリュリナ(Spirulina)
螺旋状のフィラメントを形成し、栄養価が高いため健康食品としても利用されています。高たんぱく質でビタミンやミネラルも豊富です。
藍藻類はその多様性と環境適応能力により、さまざまな生態系で重要な役割を果たしています。特に水質管理やバイオテクノロジー分野での利用が期待されています。
緑藻類

つづい紹介する植物プランクトンは緑藻類です。
緑藻類はセルロースからなる細胞壁を持ち、形態を保っており、単細胞、群体、フィラメン(糸状体)、葉状体など、多様な形態をしている種類が存在しています。
緑藻類の色素体は二重膜で囲まれており、デンプンを主な貯蔵多糖として蓄えますね。
主な種類
- クロレラ(Chlorella)
単細胞緑藻で、高い栄養価を持ち、健康食品や飼料として利用されています。 - スクエレル(Scenedesmus)
コロニーを形成する緑藻で、池や湖に広く分布します。独特の形態を持ち、しばしば水質指標生物として利用されます。 - ボルボックス(Volvox)
球形のコロニーを形成し、各細胞が協調して運動する特性を持ちます。淡水環境でよく見られます。 - スピロギラ(Spirogyra)
螺旋状のクロロプラストを持つフィラメント状の緑藻で、淡水の静水域に生息します。生育時にスライム状の物質を分泌し、手で触ると滑りやすい感触がします。 - クラドフォラ(Cladophora)
枝分かれしたフィラメント状の緑藻で、淡水および海水の環境に広く分布します。藻場を形成し、他の生物の生息場所となります。
緑藻類は、水域の生態系において重要な一次生産者として機能し、他の生物の餌となるだけでなく、水質の指標としても重要です。
また、クロレラなどいくつかの緑藻はバイオ燃料や健康食品としての利用が進められています。
珪藻

次に紹介する植物プランクトンは珪藻類です。この種類はシリカ(ケイ素)で構成された「フラスチュール」と呼ばれる固い細胞壁を持っています。クロロフィルaとcを持っており、光合成を行います。
円盤状、棒状、三角形など、多様な形態で、独特な幾何学的な模様をしているのが特徴ですね。
代表的な種類
- ナビキュラ(Navicula)
別名「フナガタケイソウ」。細長い形態を持つ珪藻で、淡水および海水環境に広く分布しています。 - シネドラ(Synedra)
別名「ハリケイソウ」。細長い棒状の形態を持ち、淡水環境で一般的に見られます。 - サイクロテラ(Cyclotella)
別名「コメツブケイソウ」。円盤状の形態を持つ珪藻で、淡水および海水に広く分布しています。
近年は淡水に生息する個体は減少してきているそうですね。 - ゴモンフォネマ(Gomphonema)
別名「コバンケイソウ」。錐形の細胞形態を持ち、主に淡水環境で見られます。
珪藻類は、水域の一次生産者として重要な役割を果たし、酸素供給や炭素循環に寄与します。
また、その多様な形態と構造から、環境のモニタリングや水質指標としても利用されています。
ユーグレナ(ミドリムシ)

ミドリムシ(ユーグレナ)は、植物と動物の両方の特徴を持つ微細な光合成生物で、淡水環境によく見られます。
ミドリムシは単細胞生物で、ペリクルと呼ばれる柔軟な外膜を持ち、細胞形状を維持しています。
鞭毛を持ち、自由に移動することができる動物的な特徴とクロロフィルaおよびbを持ち、光合成によって有機物を合成する植物的な特徴を併せ持っていますね。
代表的な種類
- ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis):
最も研究されている種で、光合成能が高く、実験生物としても利用されています。 - ユーグレナ・ビリディス(Euglena viridis):
緑色のユーグレナで、池や沼などの淡水環境によく見られます。 - ユーグレナ・サングイネア(Euglena sanguinea):
赤い色素を持ち、赤潮を引き起こすことがあります。 - ユーグレナ・デスエス(Euglena deses):
汚染された水域にも適応する種で、環境の変化に強い。
ミドリムシは、独特の生理学的特性を持ち、環境モニタリングやバイオ燃料、健康食品としての利用が進められています。
ゲンゴロウブナがこれらの植物プランクトンを食べることで、栄養を摂取し成長しています。
また、植物プランクトンはゲンゴロウブナだけでなく、水域の他の生物にとっても重要な食糧源です。植物プランクトンが豊富な環境は、ゲンゴロウブナの成長と繁殖に適しています。
まとめ
ということで、今回は植物プランクトンについて解説していきました。
このような4種類のプランクトンが生息している水域でゲンゴロウブナは生活しているんですね。
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