食品としてのフナと種類ごとの特徴

漁業学

今回は食料品としてのフナの特徴と種類ごとの解説をしていきます。
日本全国に生息して、さまざまな種類が存在するフナですが、それぞれ特徴があり、面白いものです。

この記事を読めば食品としてのフナの魅力を知ることが出来るでしょう。

食品としてのフナ

フナという魚は種類は違えど、日本全国に生息しています。
琵琶湖、宍道湖、三方五湖など西日本の湖沼がある水域では生食されるほど美味で珍重されます。

フナ全般にいえることですが、流通する地域は少ない。値段は安いことが多いですね。
原則として生きているものを選び、死んだ物は買わない方がいいです。

鱗は薄く大きいので取りやすいですが煮る、焼くなどのときにはそのままでいい。
小骨は多いですが、軟らかく、煮ると小骨はほとんどわからなくなります。

旬の時期

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フナの旬は冬〜春とされています。

冬の寒い時期にはエサを食べないので
泥臭さが少なく、比較的クセのない白身でしまっています。

しかし、地域によっては「新ばえ」と言って当歳魚の7月を貴重としたり、
水田の水揚げのタイミングである9月に出荷して出回るなどさまざまですね

原則、食用にされるフナは分類されることが少なく、大抵の場合は「ふな」という名前で流通します。例外として琵琶湖などではふなずしの材料としての価値があるニゴロブナとその他のフナを比較するために名前が分けられたりしていますね。

1、ギンブナ

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先生
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まず紹介するのはギンブナです。

フナ属の中でももっとも生息域が広く、「真鮒(マブナ)」の異名があるほど知名度が高く、この個体は国内全域に生息している。
この種類は古くから食用とされてきた魚であり、特に内陸部で発展してきた古代の都市部では重要な食用魚でした。

先生
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ある意味、日本料理の基礎を担ってきた魚ともいえますね。

水域によっては40cmに成長する魚ですので可食部もそこそこ大きいです。
今でも京都、大阪、関東でも霞ヶ浦周辺・利根川流域、愛知県西部、岐阜県木曽三流域、岡山県、島根県などで食べられいます。
ただし食用となっている多くがゲンゴロウブナであり、本種の食用比率はよくわからないですね。

2、ゲンゴロウブナ

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先生
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次に紹介するのはゲンゴロウブナです。

釣り魚「ヘラブナ」として全国の湖沼に移入しているフナであり、
原則ヘラブナ釣りが出来る釣り堀などではキャッチアンドリリースとされております。

食用に改良されたものは関西では少ないながら流通していおり、一部に味の良さが認められています。
ギンブナと比較しても大型になりやすく、煮ると骨が柔らかくなるため、ギンブナよりも美味とされています。

先生
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琵琶湖ではニゴロブナの代わりにふなずしとされることもあります。

3、ニゴロブナ

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次に紹介する魚は「ニゴロブナ」です。

ニゴロブナは「ふなずし」の材料として採用される魚であり、琵琶湖では高値になるといいます。
「ふなずし」など、なれずしの材料はなんでもよいのだが、古来よりもっともよく使われてきたのがフナになります。
中でもゲンゴロウブナとニゴロブナがその最たるもので、特にニゴロブナの方が骨が軟らかく味がいいとされる。

琵琶湖周辺では高級魚。
というか、純粋に漁獲量が減少しており、希少性が増してしまったためでしょう。

4、カイリョウブナ(改良ブナ)

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次に紹介するのは「カイリョウブナ」です。

改良ブナは長野県佐久市、駒ヶ根市などの田で養殖されているフナになります。
このような名前のフナは元々存在していませんでした。

もともとは観賞用に改良されて金魚なのですが、水田で害虫や雑草とりとして採用されたところ、
煮て味がいいので、田で稲作とともに養殖されるようになった

特徴は体高があり、内臓の比率が高いこと。佃煮などにする小ブナは内臓の味を楽しむので、これに適している品種とも言われています。

原則として水田にて稲作が終了する9月に回収され、食用として出回るようになります。

改良ブナの経路

改良ブナは金魚の祖先とされる緋ブナから作られたものです。
大和郡山などの産地とは一線を画すために金魚ではなく、ヒブナの生産に取り組む内に生まれたもの。
緋ブナ自体も自然界に存在していますが、たぶんこれを選抜して飼育品種を作る内に、黒く先祖返りした固体が生まれる。

これはヒブナとは呼べず、商品価値もない。これを水田養殖用として転用したものが改良ブナというものだろう。

その他のフナ

ナガブナ

長野県の諏訪湖では食用として出回っていたフナ。この個体は体色が赤褐色のため、同じ水域に生息するギンブナと比較して「アカブナ」とも呼ばれていたと言います。

オオキンブナ

西日本の河川に生息しているフナ。この個体に関しての食文化に関してはあまり情報がありません。
これは純粋に「オオキンブナ」として流通せずに「フナ」という名前で流通しているからであると考えられます。

この亜種が生息している水域ではギンブナも生息していますから、明確に比べることが少なかったのではないでしょうか。

キンブナ

関東地方に生息するフナ。他のフナと比べて小型であり、可食部は少ないです。
ギンブナの小型個体と共に捕獲され、甘露煮やすずめ焼きとして食べられていたと考えられます。

まとめ

ということで、今回は食料品としてのフナの立場と特徴について解説してきました。

基本的には「フナ」という名前で流通していることが多いですが、加工前の個体だったらこの個体はなんの種類なのかと調べてみるのも面白いですね。

フナの見分け方についての記事も書いていますので、よかったらそちらもみてみてくださいね。

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