フナにおける実験動物としての価値は?|ギンブナ養殖

漁業学

今回は実験動物としてフナの価値について解説していきます。

フナは、実験動物として多くの研究で使われています。
ここでは、フナがどのように研究に役立っているのかを説明していきます。

実験動物としてフナが適している理由

まずはフナが実験動物として適している理由から解説していきましょうか。

入手がしやすい点

まずはフナや金魚が入手しやすいことは大きなメリットでしょう。
実験を行うにあたっては同一の個体が無数に必要であり、自然と入手難易度の低い個体は優先されます。

まずは繁殖が比較的容易な魚であることでしょうか。特に金魚は、養殖技術が発達しており、大量に生産されて市場に供給されています。また、ギンブナをはじめとしたフナ類は全国の河川や湖沼に生息しておりタモ網や釣りなどで用意に入手することができます。

ペットショップやホームセンターなど様々な場所で手に入れることができます。また、インターネットを通じての購入も可能で非常に入手手段が多彩で容易です。

男の子
男の子

他の比べて流通量が多い理由はなんでしょうか?

先生
先生

観賞魚としての歴史が深いからですね

金魚は古くから日本や中国などで観賞用の魚として親しまれてきました。
このため、多くの人々にとって馴染み深い存在であり、需要があります。

    これらの要因が組み合わさって、フナや金魚は非常に入手しやすくなっています。

    体が大きく観察しやすい点

    次に、体が大きいこともメリットですね。

    入手のしやすさでいけばフナ以外にもメダカが挙げられますが、メダカは小さいので観察を行うには不向きでしょう。

    一方でフナは成魚になると体長10〜40cmまで成長します。また、フナは体高も大きいため、各臓器なども大きく観察もしやすいというのは強みですね。

    先生
    先生

    理科の解剖実験ではギンブナをよく用いられるのはこれが要因ですね。

    また、水質や水温変化にも強く、飼育管理も用意ですので実験を行う前に体調を崩してしまい、
    死んでしまうことも少ないですね。

    クローン個体である

    最後にギンブナ特有のメリットであるクローン個体について解説しておきましょう。

    これは、ギンブナがメスしかおらず、繁殖の際には他のコイ科魚類の精子の刺激だけで卵が発生を始める為、遺伝子としては親と同じ個体が無数に発生します。

    上記で記載したような大型の個体ならばコイなども当てはまりますが、クローンに近い特性を持つ魚類はギンブナのみになりますからね。

    先生
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    この特性は個体の条件を統一させる成果学や病理学実験などでは重宝されます。

    実験動物としてのフナの役割

    生物の成長を学ぶ

    発生生物学
    フナは、卵から大人の魚になるまでの成長過程が観察しやすいため、成長の仕組みを学ぶのに使われます。

    特に、エサ用の小型の金魚は熱帯魚店に多く取り扱っていますからね、
    入手しやすいですし、繁殖の難易度も低く観察を行う上では非常に適していますね。

    先生
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    例えば、フナの卵から孵化して成魚になるまでの変化を調べることで、
    どのように生き物が成長するのかを理解することができます

    行動学

    フナの行動を観察することで、魚がどのように動くのかや、他の魚との関わり方を学ぶことができます。

    先生
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    例えば、フナが新しい環境にどのように適応するのかを調べることができます。

    体の仕組みを学ぶ研究:

    環境への適応
    フナは、さまざまな環境に適応できるため、異なる環境条件(温度、酸素、pHなど)に対する体の反応を調べるのに役立ちます。

    先生
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    これにより、動物が環境の変化にどう反応するのかを理解できます。

    生化学
    フナの体内でどのような化学反応が起きているのかを調べることで、体の基本的な仕組みを学ぶことができます。

    先生
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    例えば、食べ物がどのようにエネルギーに変わるのかや、ホルモンがどのように働くのかを研究します。

    環境や生態系の研究

    水質検査
    フナは、水のきれいさを調べるためにも使われます。
    水質が悪くなるとフナの健康が悪くなるため、水の汚れをチェックするのに便利です。

    生態系の理解

    フナの生活や繁殖の様子を調べることで、湖や川の生態系を理解するのに役立ちます。
    フナの生態を知ることで、自然環境の管理や保護にも役立ちます。

    医薬品や化学物質の研究

    毒性試験
    フナは、新しい化学物質や薬の安全性を調べるために使われます。
    薬や化学物質がどれくらい安全かを確かめるために、フナにその物質を与えて影響を調べます。

    病気のモデル
    フナは、魚の病気を研究するためにも使われます。
    フナが特定の病気にどう反応するのかを調べることで、その病気の仕組みを理解し、新しい治療法を開発するのに役立ちます。

    まとめ

    ということで今回はフナにおける実験動物としての価値について解説していきました。

    私が通っていいた大学でも獣医学科や応用生物科学科では実験用としてクローンギンブナを養殖し、使用していました。

    私が研究していたフナの実験もそちらのギンブナを拝借して行っていましたが、どの個体も見た目がそっくりでびっくりしましたね。

    尾鰭の付け根が少し歪んでいたのですが、全ての個体が同じ症状でしたからね。

    フナは、成長や行動の研究、環境への適応、生化学的な反応、水質のチェック、医薬品の安全性の調査など、さまざまな研究に利用されています。

    フナの使いやすさや適応能力が、これらの研究において非常に重要です。
    フナを用いた研究は、私たちの生物学的な知識を深めるだけでなく、環境保護や医薬品の安全性の向上にも貢献しています。

    このように、フナは多くの科学研究において重要な役割を果たしており、その研究成果は私たちの生活にも役立っています。

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