野尻湖と外来種ソウギョ|水草消失とフナへの影響、環境回復への取り組み

環境学
先生
先生

今回は「野尻湖とソウギョ」について解説していきます。

女の子
女の子

野尻湖って名前は知っていますが、どんな場所なんですか?

先生
先生

自然や人との関わりが深く、歴史的にも大切な湖なんですよ。

男の子
男の子

なるほど、それなら詳しく知ってみたくなりますね。

野尻湖について

野尻湖は面積4.56平方キロメートル、深いところで38.5mもあり、長野県では諏訪湖に次いで2番目に大きな湖です。
7万年まえに火山でできた谷を火山の岩石流が堰き止めてできました。

野尻湖の自然と暮らし

野尻湖は岬が多く、形が芙蓉の葉に似ていることから芙蓉湖とも呼ばれている美しい湖です。人間がゾウの狩場として利用した氷河時代から現在までの長い歴史があります。

まわりにはクリやコナラなどの落葉広葉樹林が分布し、多雪地帯に特徴的な植物や野鳥なども見られ、豊かな自然を残しています。
そのため、大正時代からは外国人の避暑地としても利用されてきました。

利水

野尻湖の水は、江戸時代に新潟の高田平野まで、水がひかれ、いまも灌漑用水として使われています。1934(昭和91年には日本で初めての季節的な用水式発電所がつくられ、発電にも利用されるようになりました。

このため冬は水位が3 m近くも下がり、湖岸が干上がるので野尻湖の発掘ができるのです。また、長野市民の飲料水としても利用されています。

野尻湖と外来種

野尻湖はかつてウグイ、カジカ、コイ、フナなど様々な生き物が共生し生態系のバランスが取れていました。
しかし、ソウギョ、ブラックバスなどの外来魚により、その生態系のバランスが崩れ、もともと野尻湖にいた生き物たちにとって住みにくい環境になっています。

水草の増加とソウギョの放流

1970年代、野尻湖にはたくさんの生活排水が流れ込むことにより水中の栄養分が増加して富栄養湖となり、水草が大量に増加しました。

その結果、水草がボートに絡んでしまったり、水草の悪臭がひどくなったりして生活に支障が出るようになりました。

先生
先生

そこで対策として1978念にソウギョを5000匹放流しました。

女の子
女の子

これに何が問題だったの!?

先生
先生

しかし、この放流した量は多すぎたのです。野尻湖の規模では適正数は500尾程度とされており、適正数の10倍もの量を放流してしまったのです。

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その結果、ソウギョによって野尻湖によって水草はほとんどなくなり、本来水草に卵を産む魚や水草に生活していた小魚やエビなどの姿はほとんど姿を消してしまいました。

先生
先生

それとともに湖の水質も一段と悪くなっていったのです。

男の子
男の子

どうして悪くなっていったのでしょうか

ソウギョの特徴と生態

ソウギョは中国原産のコイ科の大型魚で、日本には外来魚として導入されました。体は銀色で細長く、成長すると1メートル以上に達することもあります。口は横に広く、水草を主食とする草食性が大きな特徴です。旺盛な食欲を持ち、短期間で広い範囲の水草を食べ尽くしてしまうことがあります。本来はアジアの大河川に生息しており、日本では養殖や環境管理の目的で持ち込まれましたが、定着すると在来の生態系に強い影響を及ぼす存在です。

ソウギョが与える影響

ソウギョは大量の水草を摂食するため、湖沼や河川の水辺植生を急激に減少させることがあります。
これにより在来魚や水生生物の生息環境が変化し、生態系のバランスを崩す要因となります。

先生
先生

一方で、この性質を逆に利用し、
城のお堀やため池では「生きた除草機」として活用されることもあります。

薬剤を使わずに水草を除去できるため、景観維持や維持管理に役立つ反面、長期的には生物多様性を損なうリスクも抱えています。

フナへの影響

フナにとって水草は重要な産卵場所であり、卵を付着させて保護する役割を果たしています。

しかし、ソウギョによって水草が減少すると、フナは産卵場所を失い、繁殖に大きな支障をきたします。さらに水草には小型のエビや水生昆虫が隠れており、フナの稚魚や成魚の餌となっていました。

水草が失われることは、こうした餌資源の減少にもつながり、フナの個体数や成長に悪影響を及ぼします。

先生
先生

結果として、フナを中心とした淡水生態系全体が弱体化する恐れがあります。

対策と現在

野尻湖の環境は、人間の生活に影響を受けて変化していきました。そこで、昔の環境に近づけるようにと地域の人々が中心となって様々な活動が行われていきます。近隣の小学校では「水草を育てて湖に帰す」取り組みをしてきました。

水草復元研究会では、ソウギョから水草を守るためのネットを水中に設置して、環境の変化を観測しています。このような取り組みによって次第に水草も増えていきます。

ソウギョの個体群が減り、水草が防護ネットなしでも生育できるようになった時に、野尻湖は昔の生態系へと徐々に戻っていくことでしょう。

しかし、外来魚が野尻湖の仲間に加わっているというのは昔とは違います。人間が変えてしまった生態系を完全に昔の姿へと変えることはできません。

先生
先生

未来の野尻湖にはたくさんの生物がともに生きられる環境を作ることが大切ですね。

まと

先生
先生

今回は「野尻湖とソウギョ」について解説していきました。

男の子
男の子

お話を聞いて、自然や人との関わりの深さを感じました。

先生
先生

そうですね、湖を理解することは未来の環境を考えることにもつながります。

女の子
女の子

これからも大切に守っていきたいと思いました。

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