
今回は「阿賀野川」について解説していきます。
新潟県を代表する大きな川で、昔から人々の暮らしと深く結びついてきました。

名前は聞いたことがありますが、どんな川なのかはよく知りません。

そうですね。阿賀野川は自然や産業、さらには歴史とも関わりが深い川なんです。今日はその姿や移り変わりについて見ていきましょう。

川を通して地域の歴史までわかるなんて、面白そうですね。
新潟の河川と地形の特徴
新潟県は日本海に面し、148本もの川が海へと流れ込む「川の国」と呼ばれます。県境には高い山々が連なり、冬には世界有数の豪雪地帯となります。春から夏にかけて雪解け水が大量に川へ流れ込み、水力発電や農業用水として利用されてきました。
県の中央部には越後平野が広がり、ここはもともと海だった場所に川が運んだ土砂が堆積してできた土地です。上空から見ると皿のような形をしており、水がたまりやすく、水害も起こりやすい地形でした。

そのため新潟では堤防や放水路を築き、時には川を人工的に掘り替えるなど「水との闘い」の歴史が続いてきたのです。
阿賀野川ってどんな川

阿賀野川は新潟県と福島県を流れる大河で、全長210km、流域面積は7,190㎢に達します。
全国でも10番目の長さを誇り、福島県側では「阿賀川」と呼ばれます。
源流は福島・栃木県境の荒海山にあり、猪苗代湖や尾瀬沼からも水を集めています。
その水量は年間100億トンと膨大で、日本第4位に入る規模です。流域には52か所もの水力発電所があり、日本全体の水力発電量の約7%を生み出しています。

新潟県側では「阿賀野川ライン舟下り」など観光にも利用され、河川公園として地域の人々に親しまれる存在です。まさに「地域を支える川」といえるでしょう。
阿賀野川と人々の暮らし
- 江戸時代
江戸時代、阿賀野川は物流の大動脈でした。筏による木材の運搬、渡し舟での交通、農林業の合間の漁、生活用水――まさに人々の暮らしと一体化した川でした。 - 明治以降
明治になると鉄道や道路の整備により水運は次第に衰退します。食生活の変化やダムの建設、河川改修によって漁業も縮小しました。しかし川は依然として農業用水、発電、上水道、工業用水に利用され、人々を支え続けてきました。
かつての名残として、昭和の時代まで渡し舟や砂利運搬船が残り、只見川からの筏流しは1961年の揚川ダム完成で幕を閉じました。
流れを変えられた川

阿賀野川の流路は大きく変わってきました。江戸時代の中頃、川は現在の河口付近で西に曲がり信濃川に合流していました。しかし8代将軍徳川吉宗の新田開発政策で、阿賀野川を直接日本海に流す計画が立ち上がります。
1730年、新発田藩が松ヶ崎に放水路を掘削。当初は洪水時だけ水を流す予定でしたが、翌年の雪解け洪水で堰が壊れ、放水路が本流化しました。その結果、新潟湊は水深不足に悩まされる一方、下流域の水田開発は大きく進みました。

川の流れは自然の力だけでなく、人の思惑によっても変えられてきたのです。
阿賀野川とフナ漁


阿賀野川流域では古くからフナをはじめとする淡水魚漁が盛んでした。代表的な方法が「筌(うけ)漁」です。竹や柳で編んだ筒状の仕掛けを川底に沈め、一度入った魚が出られないように工夫されています。


フナは身近で獲りやすく、保存もきくため、地域の重要な食料資源でした。
甘露煮や漬け込みなど家庭料理としても重宝され、農村の生活に深く根付いていました。
新潟水俣病とフナ

しかし1960年代、阿賀野川は深刻な公害に見舞われます。上流の工場から有機水銀を含む廃液が流され、川の魚介類に蓄積しました。
フナも例外ではなく、筋肉や内臓に高濃度の水銀が含まれるようになりました。調査では基準を大きく超える数値が検出され、住民がそれを食べたことで「新潟水俣病」が発生しました。
手足のしびれや視野狭窄、言語障害といった症状が現れ、長く続いてきたフナ漁や食文化が、逆に人々を苦しめる原因になってしまったのです。

この悲劇は「自然の恵みを安全に利用するには環境保全が欠かせない」ことを強く示しています。
現代の阿賀野川

現在の阿賀野川は、舟下りや河川敷公園などレクリエーションの場としても親しまれています。さらに水質改善や環境保全の取り組みが進み、少しずつ生き物の多様性が回復しつつあります。
フナ漁は昔ほど盛んではありませんが、阿賀野川に生きる魚たちは地域の自然を映し出す存在として大切にされています。
まとめ
阿賀野川は新潟を代表する大河で、歴史的に人々の生活や産業を支えてきました。江戸時代には水運と漁、明治以降には農業用水や発電といった役割を担い続けています。
その一方で、流路の改変や水俣病のような公害問題など、人間の活動によって大きな影響を受けざるを得なかった川でもあります。
阿賀野川を知ることは「自然と人の関わり」を考えるきっかけです。未来に向けて、この川とどう共存していくかを私たち一人ひとりが考えていく必要があります。

今回は「阿賀野川」について解説していきました。
大きな川は自然だけでなく、人々の暮らしや文化にも深く関わっているのがわかりますね。

なるほど、川を見る視点が変わりそうです。
もっと身近な川についても調べてみたくなりました。

とても良い考えですね。
地域の川を知ることは、自然や社会の仕組みを理解する手がかりになります。

はい、身近な自然をもっと大切に見ていきたいと思います。
国土交通省北陸地方整備局「阿賀野川河川事務所」公式資料
新潟県公式観光情報サイト「にいがた観光ナビ」
東北電力株式会社「水力発電所の紹介」
新潟日報社『写真集ふるさとの百年』
新潟市立図書館所蔵『松ケ崎堀割御普請絵図』


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