
先生、フナって全国にいるんですよね。
でも、全部「フナ」って呼ぶんですか?

いい質問だね。実は同じフナでも、地域によって呼び名がぜんぜん違うんだ。
たとえば「ギンブナ」って聞いたことあるかな?今日はその名前の由来や、地方ごとの呼び方について紹介しよう!
ギンブナとは?

漢字表記:銀鮒
標準和名:ギンブナ(Ginbuna)
ギンブナは、マブナの一種とされる淡水魚で、見た目はやや青みがかった銀白色の体色をしています。その美しい色合いから「銀鮒」と名付けられたとされ、この体色の違いが、同じマブナの仲間である「キンブナ(金鮒)」との大きな区別点になっています。
分類上はマブナの変異型とされることもありますが、釣り人や漁業者のあいだでは、体色や生息環境などからギンブナとキンブナを明確に区別することが多いです。
地域ごとの呼び名とその背景

ギンブナもまた、日本各地で独自の名前で呼ばれてきました。とくに特徴的な地方名をご紹介します。
◾️ 山形県鮭川町:「ニガザッコ」
山形県の鮭川町では、ギンブナのような小型の川魚を「ニガザッコ」と呼ぶことがあります。
これは、地元で親しまれている淡水魚に対する総称的な呼び名であり、ギンブナのような姿かたちの魚に対して使われてきました。
参考文献:『鮭川をまごと楽しもう! 川魚とって食べてみよう!』(青西靖夫/さけがわを楽しむ会)
◾️ 滋賀県長浜市菅浦周辺:「ヒワラ」「ガンゾ」「ハエ」「シンバエ」
琵琶湖周辺では、「ギンブナ」という標準和名はあまり一般には使われておらず、地元の暮らしの中で生まれたさまざまな呼び名が存在します。
- ヒワラ
細身のフナ類に対する呼称。見た目に基づいた分類。 - ガンゾ
やや成長した個体や、用途によって区別された名前。 - ハエ/シンバエ(新ばえ)
若い魚や小型の個体に対して使われる。とくに「シンバエ」は、季節や魚の成長段階を表現する言葉でもあります。
これらの呼称は、滋賀県長浜市の菅浦地域における伝統的な漁や生活の中で育まれてきたものです。
参考資料:「菅浦の湖岸集落景観保存調査 2014」(滋賀県長浜市)
関東と近畿で異なる、呼び方と使われ方の文化

同じ「ギンブナ」という魚でも、関東と近畿では呼び方や魚との関わり方が大きく異なります。
【関東地方】:「種類としてのギンブナ」

茨城県・埼玉県・東京都などの関東地方では、「ギンブナ」という名前がそのまま広く使われています。
- 銀色がかった体色
- やや体高が高い体型
といった特徴から、「これはギンブナだ」「これはキンブナだ」と識別されることが一般的です。
とくに釣り人の間では、ギンブナは「マブナ釣り」の対象魚として人気があり、明確に区別して楽しんでいる様子がうかがえます。
また、地域によっては「キンタローブナ」や「ゴマブナ」といった愛称も使われますが、これらは主にキンブナ系に属し、体色などでギンブナとは区別されます。
【近畿地方】:「生活の中での呼び名」

一方、滋賀県を中心とした近畿地方、特に琵琶湖周辺では、「ギンブナ」という呼称は日常的にはあまり使われてきません。代わりに、地域の漁業や食文化、魚の使い道に応じた生活に根ざした名前が発達しています。
- ヒワラやガンゾのように、魚の形や成長段階
- ハエ/シンバエのように、魚のサイズや季節
- 鮒ずしに向くかどうかといった用途の違い
これらの呼び名は、魚そのものよりも「どう使うか」「いつ獲れるか」といった暮らしの中での実用性が重視された呼称と言えるでしょう。
なぜこのような違いが生まれたのか?
このような呼び名の違いは、地域ごとの魚との関わり方の違いから生まれたものです。
関東では、ため池や用水路などを舞台とした日常的な釣り文化が根強く、「魚を見る視点」から名前が発達しました。
近畿(琵琶湖周辺)では、伝統的な漁業や発酵文化(特に鮒ずし)との関わりが深く、「魚を使う視点」から呼び名が育っていきました。
つまり、

関東では「見る魚」としての名前
近畿では「使う魚」としての名前が発達したのです。
まとめ:呼び名の違いは文化の違い
ギンブナは、同じ種の魚でありながら、地域によってまったく異なる呼び方で親しまれてきました。その違いは、単なる方言の差ではなく、地域の暮らし方、魚との関わり方の文化の違いを映し出しています。
分類や釣りを重視する関東、食文化や伝統漁法が息づく近畿——。
呼び名の違いからは、魚の生態以上に、人と魚が築いてきた豊かな関係が見えてくるのです。

ギンブナって、名前ひとつで地域の暮らしや文化が見えてくるんですね!

そのとおり。魚の名前は、ただの分類じゃなくて、人々の暮らしや思いがこもっているんだ。
フナの世界、なかなか奥が深いだろう?


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