【魚名学】日本のフナを命名した学者の話

生物学

今回は日本のフナを命名した学者として有名なテミンクとシュレーゲルの二人について解説していきます。

フナの学名として種としてが確立している「ゲンゴロウブナ」、亜種小名が存在している「ギンブナ」、「オオキンブナ」、「ニゴロブナ」です。

そのフナたちは全て同じ学者が命名しており、学名の後ろには二人の名前がついています。
それがテミンクとシュレーゲルになります。

テミンク(Coenraad Jacob Temminck)

コンラート・ヤコブ・テミンク(1778ー1858)は、オランダの動物学者・鳥類学者である。

オランダのアムステルダムに生まれたテミンク氏ですが、父親は鳥類の標本を大量にコレクションしており、テミンクはこれを譲り受け、ヨーロッパ有数の鳥類コレクションにまで発展させました。
1820年、オランダのライデンに王立自然史博物館が建設されると、鳥のコレクションを寄贈する代わりに初代館長として着任し、30年以上に渡って館長職を務めた。

テミンクは特にハトをはじめとした鳥類の研究を行い、ヨーロッパの鳥類について研究者として長年にわたって評価されてきました。
鳥類以外には哺乳類の研究も手がけており、多くの新種について記載論文を執筆しており、1837年にはロシア科学アカデミー自然科学部門の会員となった。

シーボルトの「日本動物誌」(“Fauna japonica”, 1844-1850) の編集において、自然史博物館の脊椎動物管理者シュレーゲルと共に脊椎動物を担当した。日本産の大型脊椎動物は、テミンクとシュレーゲルによって学名が命名されたものが多いですね。

シュレーゲル(Hermann Schlegel)

ハルマン・シュレーゲル(1804ー1884)はドイツの鳥類学者、動物学者で、ドイツのテューリンゲン州アルテンブルクで生まれた。
彼の父は蝶類の収集家であったため、それが刺激となって彼もまた博物学に興味を抱くようになっていった。シュレーゲルは父の仕事を手伝うようになったが、それにはすぐに興味を失ってしまい、1822年、彼は生家を出てドレスデンに行きます。

彼はそこで見た自然史博物館の美しさに魅了され、1824年にウィーン自然史博物館に就職しました。博物館に就職して1年ほど経ったころ、館長が、当時助手を探していたオランダの博物館館長のテミンクに彼を推薦してくれたことで、1825年にライデンに移りテミンクのもとで研究活動を行うこととなった。

シュレーゲルがテミンクのもとに移った当初は主に爬虫類のコレクションに関する仕事をしていたが、彼の活動分野はすぐに他の動物群にも拡りました。
1828年11月29日付けで博物館の脊椎動物部門の管理者となる。

日本では、滞日任期を終えたシーボルトが、海外持ち出し禁止の日本地図を持ち出そうとしたことが発覚して日本から国外追放された「シーボルト事件」が起こります。

オランダに帰国したシーボルトとシュレーゲルが出会ったのはこの少し後のことで、
シーボルトが日本で収集した動物をもとにした著名な『Fauna Japonica 』(日本動物誌:1834 – 1850)の執筆に加わることになる。

分冊として出版しながら完結まで16年を費やしたこの大著の中で、シュレーゲルはテミンクと共に脊椎動物を担当し、多くの動物を新種として記載した。

出版した書籍「日本動物誌(Fauna Japonica)」

日本動物誌 はシーボルトが長崎に滞在した6年間に採集した動物標本や、川原慶賀などの日本人絵師が描いた下絵をもとに作成されました。
1833年から1850年という長期にわたって5つの部篇が分冊刊行されました。

日本の動物について欧文で記載した最初の資料であり、本書によって日本の動物が西欧に広く紹介されました。

鳥類  Aves 1844-1850 12分冊
魚類  Pisces 1842-1850 16分冊
甲殻類 Crustacea 1833-1850 8分冊
哺乳類 Mammalia 1842-1844 4分冊
爬虫類(両棲類を含む)Reptilia 1834-1838 3分冊

という内容で、京都大学理学部所蔵本は、鳥類、魚類、甲殻類、哺乳類・爬虫類(合冊)の全4冊からなります。

哺乳類・鳥類・爬虫類(両棲類を含む)魚類は テミンクとシュレーゲルが、甲殻類はドゥ・ハーンが分担されました。

フナの記載されているページと学名

ギンブナ 192ページに記載
Carassius Langsdorfii 
Carassius auratus langsdorfi Valenciennes

ゲンゴロウブナ 194ページに記載
Carassius Cuvieri 
Carassius auratus cuvieri Temminck & Schlegel

ゴロブナ 195ページに記載
Carassius grandoculis 
Carassius auratus granduculis Temminck & Schlegel

ナガブナ 194ページに記載 
Carassius Burgeri 
Carassisus auratus buergeri Temminck & Schlegel

まとめ

ということで、今回はテミンクとシュレーゲル、日本動物誌について解説しました。
日本の生物が種として確立したのはこの生物学者のおかげなんですね。

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