日本各地で行われているフナの伝統漁業

漁業学

どうも、あおいふなです。今回は日本各地で行われているフナの伝統漁法について解説していきます。

日本各地には古くから伝わるフナをはじめとする川魚の伝統漁業が存在し、地域ごとに独自の手法や文化が息づいています。
フナは淡水魚の中でも特に親しまれ、季節ごとの漁法や祭り、調理方法など、地元の人々の生活に深く根付いています。

本記事では、フナを対象とした各地の漁の歴史や現在の取り組みを紹介し、その魅力に迫ります。

全国で行われている漁

東北 小川原湖

小川原湖は青森県に位置する淡水湖。約7.8平方キロメートルで、日本の湖の中では中規模の湖です。

伝統漁

・氷下(しがり)曳き
 湖が凍結する1月下旬から2月にかけて行う漁であり、氷の下に網を広げて魚を獲る。

フナの他にもワカサギやコイがターゲットである。

・腰曳き
 周年行われる地引網漁。全長100m近くある網を用いる。
フナだけでなくウグイやコイが獲れる。

関東 相模川

相模川は神奈川県と山梨県を流れる主要な河川で、全長約97キロメートルです。源流は山梨県の甲府盆地付近にあり、神奈川県を北から南に流れて東京湾に注ぎます。

伝統漁

・投網
漁期が決まっているアユとは異なり、通年行われる。
フナの他にコイ、ウグイ、オイカワが漁獲される。

北陸 神通川

神通川(じんつうがわ)は、富山県を流れる主要な河川で、全長約65キロメートルです。
源流は立山連峰にあり、富山平野を流れて富山湾に注ぎます。

伝統漁

・投網
通年行われる。アユの投網は6月〜11月とされる。

北陸 九頭竜湖 

九頭竜湖(くずりゅうこ)は福井県に位置する美しい湖で、九頭竜川を堰き止めて作られたダム湖です。

紅葉の季節には多くの観光客が訪れ、釣りやキャンプ、ボートなどのアウトドア活動が楽しめるスポットとしても人気です。

伝統漁

・地引網
2〜5月の間に行われる。フナ、コイの他にサツキマス(アマゴの降海型)が漁獲される。

中部 諏訪湖

諏訪湖(すわこ)は長野県にある信州最大の湖で、周囲には温泉地や観光施設が点在します。
夏は花火大会、冬は御神渡りで知られ、多くの観光客が訪れます。

伝統漁

・大四手網
 4月から7月に行われる漁

・きよめ、たけたが
 刺し網のこと。周年行われ、コイ、ワカサギが漁獲される。

・ろうや(出格子)
 春から夏に行われる漁。エビも漁獲される。

・網筌
 通年通して行われる。

中部 矢作川

矢作川(やはぎがわ)は愛知県と岐阜県を流れる河川で、農業や産業に採用される水源です。
川沿いには歴史的な城跡や文化財が点在し、特に三河地方では地域の生活や祭りに深く関わっています。

伝統漁

・刺し網
10月〜1月

・巻き網
周年行われる。
深さ2mほどの網でフナやコイの群れを巻き、浅いところまで巻き出す。
その網の中を袋網で中引きし、さらに浅い瓦へと巻き出す。

・地獄網
8月〜12月に行われる漁。
網筌の一種で 一度入ると出られなくなるために「地獄」と言われている。

近畿 琵琶湖

琵琶湖(びわこ)は滋賀県に位置する日本最大の淡水湖で、面積は約670平方キロメートルです。
約400万年前に形成され、日本最古の湖とも言われています。

豊かな生態系を持ち、約1000種類以上の生物が生息しています。

伝統漁

・刺し網
 ヘラブナを狙うフナ小糸とニゴロブナを狙うイオこいとの2種類がある

・浮あみ
 大物を狙う刺し網

・魞
 琵琶湖独特の大型定置網

詳しくは別の記事を作成しているのでそちらを参照。

中国 旭川

旭川(あさひがわ)は中国地方の岡山県を流れる河川で、全長142kmを誇ります。
上流には美作三湯と呼ばれる温泉地があり、中流には旭川ダムが位置します。

伝統漁

・投網
7月〜3月に行われる。アユ、コイ、フナ、オイカワが獲れる。

中国 宍道湖

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宍道湖(しんじこ)は島根県にある汽水湖で、美しい夕日やシジミ漁が有名です。
湖畔には温泉や歴史的な神社があり、観光やレジャーが楽しめます。

伝統漁

・刺し網
 1〜4月に行われる。シラウオ、ワカサギ、フナ、コイと対象魚に合わせて目の大きさが異なる網を用いる。

・フナ網筌
 3月〜5月に行われる。

・タモ網
 さであみの一種。水中に設置して魚の入るのを待つ。

・箱筌
 長さ1m、幅15cm、高さ10cmの箱状の筌。竹で編んだ受けもある。

九州 球磨川

球磨川(くまがわ)は熊本県を流れる九州有数の急流河川で、全長約115kmです。
源流は阿蘇山系で八代海へ注ぎます。ラフティングや鮎釣りが盛んです。

伝統漁

・ばくだん釣り
エサ盗りから付け餌を守るためにダンゴで包む方法が考案されました。
ダンゴのニゴリにはハリスを隠し、魚を寄せてポイントを作り出す効果があります。
大きさは野球ボールくらいで、地域によってバクダン釣りともダゴチン釣りとも呼ばれます。

まとめ

ということで今回はフナの漁について解説していきました。

日本各地で伝承されるフナの漁業は、人口減少や漁業者の高齢化により廃れてはいますが、地域の文化や歴史に深く根付いています。

季節ごとの漁法や道具、地域特有の料理法など、各地のフナ漁業はその土地ならではの風物詩です。
これらの伝統は、自然との共生や地域コミュニティの絆を育んできました。

これからもこの貴重な文化を次世代へと受け継ぎ、守り続けていくことが大切ですね。

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