生き物観察でやってはいけないこと|放流・乱獲が招く問題

環境学
先生
先生

今回は「自然観察と環境保全」について解説していきます。
自然の中で生き物を観察することは、とても楽しい体験ですよね。

男の子
男の子

はい、川や沼で生き物を見つけるとワクワクします。

先生
先生

その楽しさを、これから先の世代にも残していくためには、
私たちの行動にも少しだけ意識が必要になります。

女の子
女の子

楽しむだけでなく、守ることも大切なんですね。

自然の中で生き物を観察する時間は、私たちに多くの発見や感動を与えてくれます。
川辺で石をめくったときに現れる小さな生き物、沼地で静かに泳ぐ魚の姿は、日常では得がたい体験です。

しかしその一方で、自然観察という行為そのものが、少なからず環境に負荷を与えていることも忘れてはなりません。

未来の世代も同じ自然を楽しめるようにするためには、私たち一人ひとりが「持続可能な利用」を意識した行動を取ることが大切です。

岩や石は必ず元に戻す

川や沼で生き物を探す際、底にある石や岩を持ち上げて観察することはよくあります。
石の裏側には、水生昆虫や甲殻類、小型の魚など、普段は目にすることのない生物が隠れていることが多く、自然観察の醍醐味のひとつでもあります。

しかし、石の表と裏では、日光の当たり方が異なるため、付着している藻類や微生物の種類も大きく異なります。
石をひっくり返したままにしてしまうと、それまで安定していた微小な生態系が壊れてしまう可能性があります。

先生
先生

観察が終わったら、必ず元の向きに戻す。
この小さな配慮が、生き物にとっては大きな違いになります。

生き物の放流は基本的にNG

捕まえた魚や水生生物を「かわいそうだから」「自然に返してあげたいから」と安易に放流する行為は、一見すると優しさのように見えます。
しかし、生物の放流は生態系に大きな影響を与える行為であり、原則として避けるべきです。

国外から持ち込まれた外来生物はもちろん問題ですが、国内であっても、地域の異なる個体を放流することは深刻な影響を及ぼします。
同じ種類に見えても、地域ごとの個体群は遺伝的に異なっており、無計画な放流は遺伝的多様性の低下を招きます。

先生
先生

実際、こうした行為が積み重なった結果、
かつて身近だった魚が絶滅危惧種に指定された例もあります。

女の子
女の子

在来種のフナも被害に遭っているんですね。

先生
先生

善意であっても、結果的に自然を壊してしまう可能性があることを、私たちは理解しておく必要があります。

魚類放流に関するガイドラインの存在

このような問題を背景に、日本魚類学会では2005年に「生物多様性の保全を目指した魚類の放流ガイドライン」を策定しました。

このガイドラインでは、放流は慎重に検討されるべき行為であり、生息環境の保全や啓発活動の方が、放流よりも有効な場合が多いことが示されています。

また、やむを得ず放流を行う場合でも、放流場所の選定、個体の由来、遺伝的多様性、病気の有無など、専門的な視点からの検討が不可欠とされています。

先生
先生

特に、市販されている生体を放流に使うことは、強く避けるべき行為とされています。

ゴミは必ず持ち帰る

自然観察の基本中の基本が「ゴミを残さない」ことです。
水辺には、すでに多くのゴミが漂着していることも少なくありませんが、すべてを回収するのが難しい場合もあります。

それでも、最低限、自分が出したゴミは必ず持ち帰ることを徹底しましょう。

先生
先生

「立つ鳥跡を濁さず」という言葉の通り、訪れる前と同じ状態でその場を離れる意識が重要です。

装備や器具の洗浄も重要な配慮

網やバケツ、ウエーダーなどの装備には、目に見えない微生物や病原体が付着していることがあります。
異なる水域で同じ装備を使い回すことで、病気や外来微生物を広げてしまう可能性があります。

使用後や別の水域で使う前には、食塩水や熱湯、石鹸などを用いて洗浄・消毒することが望ましいでしょう。
可能であれば、装備を水域ごとに使い分けることも有効な対策です。

乱獲・密猟をしないという意識

乱獲や密猟によって、生物資源が激減し、絶滅に追い込まれた例は世界中に存在します。
研究や標本収集であっても、希少な生物を過剰に採集することは許されません。

自然と向き合う私たちには、「知ること」と同時に「守ること」が求められています。
これは、21世紀を生きる私たちが必ず意識しなければならない、大切な責任です。

先生
先生

ということで、今回は「自然観察と環境保全」について解説していきました。
自然とふれあう時間は、私たちに多くの学びを与えてくれます。

女の子
女の子

自然を見る目が、少し変わった気がします。

先生
先生

一人ひとりの小さな心がけが、自然を未来へつなぐ力になります。
これからも、自然と上手につきあっていきたいですね。

男の子
男の子

はい、意識しながら自然観察を楽しみたいです。

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