矢作川と明治用水|日本デンマークを支えた水のチカラ

陸水学
先生
先生

今回は「日本デンマークと明治用水」について解説していきます。
愛知県安城市にあたる地域が「日本のデンマーク」と呼ばれていたことを知っていますか?

女の子
女の子

えっ、日本のデンマークってどういうことですか?
ヨーロッパの国の名前ですよね?

先生
先生

デンマークは農業がとても発達していて、「農民がゆたかに暮らせる理想の国」と考えられていたんだ。
日本でもそんな町を目指そうとした動きがあって、その中心にあったのが「明治用水」なんだよ。

男の子
男の子

なるほど、詳しく教えてください!

荒れた土地を変えた用水路

東海道新幹線の通過駅でもある「安城」。かつての安城市周辺は「安城が原」と呼ばれており、作物が育ちにくい乾いた土地でした。
そんな地域を大きく変えたのが、1880年(明治13年)に完成した明治用水です。

この用水を作るために尽力したのが都築弥厚(つづきやこう)。彼の志に共鳴した岡本兵松や伊豫田与八郎らが協力し、水路の建設を進めました。

男の子
男の子

水路を作るだけで、本当に農業が変わったんですか?

先生
先生

そうなんです。
というのも水が引かれると、乾いた土地は緑の田畑へと変わっていくんですよ。
そして、その流れは農業だけでなく、川やため池にフナやコイといった魚のすみかを広げることにもつながったんです。

矢作川とは

矢作川は長野県の根羽村を源流とし、愛知県西三河地方を流れて三河湾へ注ぐ一級河川です。
明治用水をはじめとする大規模な取水網により、碧海台地の農業発展や中京工業地帯の形成にも大きく貢献しています。自然と人の営みが強く結びついた川です

矢作川に生息するフナ

矢作川には、ギンブナ・オオキンブナ・ゲンゴロウブナといった複数のフナが生息しています。

  • ギンブナ
    環境への適応力が高く、川のよどみや水路など広い場所で見られる代表的な在来種です。
  • オオキンブナ
    体が大きくやや黄みを帯びた体色をもち、矢作川中下流域の穏やかな水域に定着しています。
  • ゲンゴロウブナ
    琵琶湖原産のフナで、釣り用のヘラブナとして移入されています。
    現在は取水路やダム湖など流れの緩い場所に多く見られます。

これらのフナはそれぞれ異なる由来や生態を持ちながら、矢作川の水辺環境の中で共存しています。

水が農業とまちを変えた

明治用水によって農業が活性化すると、地域にはリーダーたちが現れました。
岡田菊次郎は道路や倉庫を整備し、山崎延吉は農業学校を作って教育を広めました。

また、稲作だけでなく果物や家畜を組み合わせた多角的な農業経営が盛んになり、「農業の理想郷」と呼ばれるようになったのです。

先生
先生

梨やスイカまで育てられるようになったんですね!

農家の協力と「丸碧」

農家たちは「丸碧(まるへき)」というグループを作り、野菜や卵を東京へ出荷。
ブランド化に成功し、大きな利益を生み出しました。その中心人物の岩瀬和市は病院を建て、農家の健康まで支えました。

先生
先生

このような努力が全国から注目され、雑誌で「日本のデンマーク」と紹介されたのです。

碧海台地の発展とフナのすみか

明治用水のおかげで碧海台地(現在の安城市周辺)は大きく発展しました。
明治40年には耕地面積が8,000ヘクタールを超え、大正期には「三河梨」が全国ブランドに成長。スイカや卵も有名になりました。

一方で、用水によって生まれた田んぼやため池、小川はフナにとって格好のすみかとなりました。
春には田んぼに群れをなして産卵にやってくるフナの姿が見られ、農業と水辺の生き物が共存する風景が広がっていったのです。

矢作川の水利用と私たちの暮らし

先生
先生

ところで、君たちの暮らしに欠かせない水はどこから来ると思いますか?

女の子
女の子

うーん、水道?でも、その水はどこから来るのかな…

先生
先生

実は、それも矢作川のおかげなんです。
農業だけじゃなく、暮らし全体がこの川の水で支えられているんですよ。

  • 農業用水
    明治用水、枝下用水、矢作川用水などを通じて、約2万ヘクタールの農地に水が供給されています。
    また、明治用水は防火用水としても活用され、151か所の消火栓が設置されました。
  • 工業用水
    西三河工業用水は安城や知多半島の工業地帯を支え、さらに名古屋南部の工場にも利用されています。
  • 発電用水
    矢作川流域には26か所の水力発電施設があり、総出力は127万キロワット。東海地方最大級の発電地帯です。

矢作川の課題と未来

矢作川の年間水利用率は全国でもトップクラスの40%超。
それだけ頼られている一方で、水量は少なく、近年は水不足が深刻化しています。

農業用水や工業用水の制限が行われることもあり、持続可能な利用が求められています。

明治用水を学べる施設|水のかんきょう学習館

水のかんきょう学習館は、明治用水をはじめとする矢作川水系の水利用について、子どもから大人まで学べる環境学習施設です。

館内では、農業用水・工業用水・生活用水として水がどのように使われているのかを、模型やパネル展示を通してわかりやすく解説しています。

碧海台地の農業発展や、西三河の暮らしを支えてきた明治用水の役割を、実感をもって理解できる施設であり、矢作川を「使う川」として考えるきっかけを与えてくれます。

まとめ

先生
先生

ということで今回は「日本デンマークと明治用水」について解説していきました。

女の子
女の子

ただの水路が、町全体や魚のすみかまで変えてしまうなんて、すごいですね!

先生
先生

明治用水と矢作川の水があったからこそ、「日本デンマーク」と呼ばれる町が生まれ、フナたちも生きられる環境が広がったんです。
気になった人は、安城市の施設や展示でその歴史をのぞいてみてね。

男の子
男の子

はい、今度は川を眺めながら歴史を感じてみたいと思います!!

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陸水学

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