今回はフナの生息地として、ダム湖について解説していきます。
ダム湖はもともと利水が目的で川をでき止めて造られた人工的な湖です。
複雑に入り組んだ岬や湾が様々なポイントを形成して、
天然湖とは一味違ったフィールドを作り出しています。
ダム湖の特徴を見ていきましょう。
ダム湖とは
ダム湖とは、水力発電所、洪水調整、上水道や工業、農業用水などの利水を目的として、
川をダムで堰き止めて造られた人造の湖のことをいいます。
数多くの魚の種類が生息していますが、堰き止められた元の川に生息していた魚だけでなく、
人の手によって放流された魚も存在します。
釣り文化としては、ヘラブナやワカサギ釣りの人気が高く、
ルアーフィッシングではブラックバスやブルーギルが人気です。
上流に渓流があるダム湖では、イワナなどの渓流魚や渓流から降りてきてダム湖で育った、
いわゆる湖さんのサクラマス(サツキマス)も見られます。
ダムの規模と特徴
ダムの規模は大小様々ではありますが、一般的には15m以上の堤型の構造物を有するものをダムと呼び、その上にある貯水池をダム湖と呼びます。
堤が15mにも満たない貯水池は溜池や堰堤と呼ばれるのが一般的です。
ダム湖では、最下流にあるダムと、上流にある流れこみからできています。
もともと川をでき止めて造られたダム湖の形状は火山や噴火口などに水が溜まってできた天然の湖のような単純な形とは異なり、
河川の形に沿った木の枝状をしていることが多く、岬やワンドなどが複雑に入り組んだ地形となっているのが特徴です。
ダム湖は、湖内の流速が早く、河川に近い性質を持つ「流れダム湖」と、湖内の流速が遅く、止水の湖に近い性質を持つ「とまりダム湖」にと分類されます。
流れダム湖は、夏季においても湖底まで酸素が行き渡りますが、
とまりダム湖では夏季に水温が急激に変化する層(サーモクライン)が形成されて、表層と深層の間に壁ができたような状態になります。
結果、水温の低い深層部分まで酸素が行き渡らなくなり、固定の酸素は欠乏します。
さらにこれが秋になりますと、表層の水温低下に伴って水質の悪い深層の水が上昇するターンオーバー現状が起きます。
しかし、流れダム湖においても、貯水容量の大きいダム湖では、下流のダム堤体付近に止水帯ができるので、
季節や天候などの状況により大きく水質が異なり、上流と下流でかなり大きな差が出ることもあります。
ダム湖の水位と水環境
利用目的によって頻度は異なりますが、ダム湖は定期的に放水を行いますので、季節ごとの水位の変化が著しく、
梅雨時などの降水の多い時期には多くの水がためられるように、あらかじめ水位を下げておくことが多いです。
そのため、天然の湖のように水位は安定していないので、中には年間を通して10m以上も水位が増減するダム湖もあります。
ダム湖では、水位や風向き、水流などの要因によって、水域ごとの環境の差が生じた湾内、流れ込みで、
水質やプランクトンを食べる小型魚を狙う場合はもちろんですが、肉食性の魚を狙うときにもこれらの要因にも注目することが大切です。
そして、大雨が降った後には流域の河川から湖内へ濁りが入ってしまい、釣りが行いにくくなることもありますが、
ダム湖では、天然の湖に比べて水の循環が速く、場所によっては数日で湖水が入れ替わるところもあります。
濁りは上流部や流れ込み付近から収まっていきます。
ダム湖の魚が生息しているポイント
ダム湖で魚が生息しているポイントとしては、ボートの桟橋、岬、湾、流れ込み、立木やオーバーハングといった陸上から見える地形の変化と、
水中にあるそこの起伏やカケアガリ、ブレークラインなどが挙げられます。
もともと山間の谷筋に水を溜めたダム湖では、山裾の地形がそのまま水中へと続いていくので、
岬先端の水中は馬の背になっていると考えられます。
また、大きな湾の最も奥には川の流れ込み周辺は流砂によって水深が浅くなっていることがほとんどです。
ダム湖で釣りを行う場合、陸やボートからの釣りになりますが、ダム湖の周辺は傾斜や崖に囲まれていることが多く、
陸地から釣りができるのは、桟橋や水深が浅く、開けた区域の湖畔、傾斜のなだらかな岬など、ダム湖全体から見れば限られた場所だけになってしまいます。
近隣に複数ダム湖があるところでは、上流のダムの放流により、急激に水位が増えるところもありますので、
陸から釣りを行う場合には、水位が上昇してきたら、すぐに安全な場所へと避難していきましょう。
ボートから釣りを行う場合、ヘラブナを釣るならば、各ポイントに設置されているロープやブイにボートに係留するのが一般的です。
時期によって釣れるポイントが異なりますので、貸しボート店で釣れているエリアを聞いておくといいですね。
フナが生息しているダム湖【奥多摩湖】
今回はフナがいるダム湖として東京都にある「奥多摩湖」を紹介していきます。
奥多摩湖は東京の多摩にあるダム湖で、昭和32年に完成した小河内ダムによって出現した人造湖です。正式名は小河内貯水池。東京都下では、多摩湖とともにダム湖百選に選定されています。
周囲45.4kmにわたる入り組んだ湖岸には、変化に富んだ景色が展開。湖の周囲は、東京水道水源林(「水源の森百選」選定)で、秩父多摩甲斐国立公園に指定されています。
奥多摩湖の名物は湖を横断する麦山の浮橋、通称「ドラム缶橋」。ドラム缶状の樹脂をつないだ歩行者専用の浮き橋で、
青梅街道と対岸結ぶ橋で、麦山の浮橋、留浦の浮橋の2ヶ所設置されています。
対岸のわさび田などに行くためにつくられた架設橋で(湖の誕生で途絶された生活道路の代替)
以前は本物のドラム缶の上に板が並べられていたので、その名があります。
また湖畔の大麦山周辺には約1万本のサクラが植えられ、春は湖畔から山一面がサクラ色に染まり見事です。
小河内ダムの監視塔を利用した小河内ダム展望塔がダム堰堤上に、ダムサイトに奥多摩湖のビジターセンター的な役割を担った「奥多摩水と緑のふれあい館」があります。
東京都 奥多摩湖のヘラブナ釣り
釣り料金は無料で岡釣りのみとなっていますので、ボートを使用した釣りはできません。
また、浮き桟橋、ダムサイトではできません。
奥多摩湖のヘラブナ釣りは、長竿の底釣りが一般的で、
ウキはパイプトップのやや大きめのサイズが使いやすいです。
水位によりポイントも大きく変わります。
「熱海下」や「峰谷川」「丹波川」「小菅川」など入り組んでいて、好ポイントが無数にあります。「峰谷橋上流の学校下」もおすすめです。
サクラの咲く頃に乗っこみがあり大型のヘラブナも狙えます。
乗っこみ場は上流部になりますが、浮遊するゴミの塊なども浮きオダのようにハタキ場となります。
また、大雨のあとで濁りが入った時なども狙い目となります。
釣れるヘラブナのほとんどが地べらになります。
注意点
なお、ダム湖によっては、全面的に釣りが禁止されていたり、
釣りが可能でも湖内への立ち入り禁止区域や禁猟区が設定されていたりするところもありますので、事前に確認していきましょう。
釣りが可能なダム湖では貸しボート店があることが多いので、
釣果情報やポイント、仕掛けなどはボート点で情報を得ることが一番です。
人気の高いダム湖では釣り用の地図が発行されていますので、
地図を見ておいてあらかじめ水の流れや釣りのポイントになりそうな場所を探しておくといいでしょう。
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