
今回は「魚の名前の由来」について解説していきます。身近な魚の名前にも、実は人々の感じ方や考え方が映し出されているんですよ。

えっ、魚の名前ってただの呼び方じゃないんですか?

そう思われがちですが、名前の奥には自然の特徴や文化の記憶が隠れているんです。名前をたどることで、その魚がどんな存在として見られてきたのかが見えてきますよ。

なるほど、名前から自然や人とのつながりを読み取れるんですね!
見た目から生まれる名前──色・形・行動の観察力

● 色に由来する名前
もっとも直感的な命名は「色」に基づくものです。
ギンブナ(銀鮒)
銀白色の体色から
キンブナ(金鮒)
やや金色がかった体色。
アカブナ(ナガブナの地方名)
赤みがかった体色から、諏訪湖にてギンブナと比較するために使用する
観察された色がそのまま名前に残ることで、視認的な区別が記録されています。
● 形に由来する名前
体型や体の特徴に由来する名前も多く見られます。
ナガブナ(長鮒)
細長い体型から由来
ゲンゴロウブナ
体高のある丸い体形が水生昆虫に似ているとの連想
grandoculis(ニゴロブナの学名の一部)
ラテン語で「大きな目」という意味から
これらは魚の形を観察したうえで命名された例です。
● 行動に由来する名前

数は多くありませんが、行動がきっかけで命名された例もあります。
テッポウウオ
水鉄砲で虫を落とす姿から
キノボリウオ
川から上がる行動から
観察された動きが、名前のインスピレーションになることもあるのです。
人や場所の記憶が残る名前──人名・伝説・地名

● 人名由来:学者への敬意
分類学の世界では、魚の発見や研究に貢献した人物に敬意を表し、名前を贈る「献名」が行われます。
オオキンブナ(Carassius auratus buergeri)
19世紀の博物学者ブェルガーにちなむ
ゲンゴロウブナ(Carassius cuvieri)
分類学者キュヴィエにちなむ
名前が、魚と科学者をつなぐ記録となっています。
● 伝説・俗説に基づく命名
ゲンゴロウブナ
源五郎という人物についての俗称から
ニゴロブナ
ゲンゴロウブナに類似するという説や、方言・地名起源の説も存在
伝説や言い伝えは科学的根拠が曖昧な場合もありますが、文化的には大切な記憶です。
● 地名に由来する名前
- ビワマス(琵琶湖)
- ニッコウイワナ(日光)
- トウキョウサンショウウオ(東京)
地名は魚と地域の結びつきを物語り、将来的な保全にも資する情報です。
俗称が語る人と魚の距離

● 生活の中から生まれた呼び名
マブナ、アカブナ、ナガブナ
形や色に基づく呼び名
フナッコ、フナゴ、フナコ
東北地方での親しみ表現(語尾に「こ」「っこ」)
これらは、日常生活のなかで魚がどれだけ身近だったかを示す呼称です。
名前が示す人と自然のまなざし
命名とは、ただ分類する行為ではありません。魚の名前には、
- 観察の痕跡
- 生活文化の反映
- 信仰や祈りの表現
が織り込まれています。
たとえば「名を呼ぶと豊漁になる」「呼んではいけない名がある」など、名前そのものが意味や力を持つとされた文化もあります。
また、魚を「食べる」「飼う」「飾る」といった用途に応じて呼び分けることは、自然を人の目的に応じて捉える視点を反映しています。
おわりに──名前は“人と自然の関係史”

今回は「魚の名前の由来」について解説していきました。
魚の名前には、見た目や動きだけでなく、人々の暮らしや文化までもが映し出されていることがわかりましたね。

たしかに、名前の背景を知ると、魚を見る目がちょっと変わりますね。
ただの呼び名じゃなくて、人と自然の関係が詰まっているんですね。

その通りです。名前をたどることは、自然をどう感じ、どう語り継いできたかを知る手がかりになります。
これからは、魚の名前を見かけたときに「なぜこの名前なのか」と考えてみると、もっと面白くなりますよ。

はい!図鑑を見るときも、名前の意味を想像しながら読んでみたいです。
魚の名前は、分類のための技術であると同時に、人と魚がどのような関係を築いてきたかを語る物語でもあります。名前を通して見えてくるのは、私たちが自然をどう見てきたか、どう接してきたかという“関係の歴史”なのです。


コメント