【水族館コラム】好適環境水について

水族館

フナが海水魚と混泳するには

フナが海水魚と混泳するというのは言葉以上難しいのです。

というのも、淡水魚と海水魚の体の構造が異なっており、それぞれがそこに住むのに適合する体となっています。

フナはそれでも塩分に対する耐性が高い生物なので、海に近い河口の汽水にも生息していることがあります。

そのため、塩分濃度は約1%の汽水水槽にギンブナと塩分濃度を薄くして慣らした海水魚を混泳させることなら短時間であれば可能である。

それでも、魚には負担をかけずに快適に生活できる水というのが「好適環境水」なのです。

好適環境水とは

海水の中か魚の生活に必要な成分をナトリウム、カリウム、カルシウムなどに絞り込んた結果、

わずかな濃度の電解質を淡水に混ぜるだけで、
淡水魚も海水魚も同じ水槽で飼育することができるようにばる人工飼育水です。

こちらは工学部バイオ・応用化学科の山本准教授が中心になって研究を進めています。

好適環境水の成分

塩素を初め、ナトリウム、硫黄、マグネシウム、カルシウム、カリウム 、炭素、臭素、ストロンチウム、 ホウ素、フッ素、リチウム、べリリウム、アルミニウム、スカンジム、チタン、バナジウム、クロム、 マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セン、ルビジウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、銀、カドミウム、インジウム、錫 等々、

60種類以上ある海水の成分の中から、魚が生息していくのに必要最低限の成分であり、

水10Lに対して、上記の成分を10g入れると出来上がる。

好適環境水の養殖する上でのメリット

好適環境水のメリットは非常に多い。

好適環境水の素となる粉末と水だけで海水の飼育を行うことができるのである。

これにより、水源さえあれば、海水がなくても海水魚の生産を行うことができるため、低コスト化ができるのである。

好適環境水で飼育すると成長速度が速くなるというデータがあります。

バナメイエビを出荷させるために通常の海水では4〜5ヶ月かかるのが、3ヶ月に短縮されたそうです。

海水魚の場合、不必要な塩分を排出していますが、公的環境水ではその必要がないので、ストレスが軽減されて、成長につながると考えられています。

また、自然環境から切り離し、人為的にコントロールした環境で飼育を行うため、台風や赤潮などの視線の影響を受けず、病気も発生しにくいとされています。

好適環境水の展示をしている場所

水族館等で好適環境水を行っている展示があれば、今後も追加していきます。

浜名湖体験学習施設ウォット

静岡県浜松市にある「浜名湖体験学習施設 ウォット」では、好適環境水での展示を行っていた。

展示個体は淡水魚はフナ(ギンブナ)とキンギョ(和金、コメント)。海水魚はアジが展示されている。

好適環境水で唯一フナを展示している水槽である。
大体は淡水魚で入れられるのは金魚やコイ(錦鯉)が多いですからね。

まとめ

いかがでしたか、こちらの好適環境水、登場してからまだ一般への復旧が困難というデメリットがあります。
これは、技術的に難しいので、中なか広まっていません。それでも、これが広がれば世界的にも優れた養殖技術になります。

こういう展示する水族館が増えてくれれば、一般に認知できるのではないかと考えています。

今回の記事で少しでも好適環境水について興味を話入れいただけたら幸いです。

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