今回は「フナをはじめとした淡水魚が海水魚と飼育を行う」
という夢のようなアクアリウムの方法について紹介していきます。
以前解説した「【水族館コラム】好適環境水について」がまぁまぁ好評だったこともあり、
ここでは少し詳しく魔法の水の成分などについて解説していきたいと思います。

普通では行うことができない海水魚との飼育を行うことが可能となります。
ぜひ一緒に見てみましょう。
好適環境水とは


そもそも、好適環境水ってなんでしたっけ?
まずは好適環境水について少しおさらいです。
好適環境水(環境適応水)はいってしまえば「淡水魚も海水魚も適応できる不思議な水」です。

現実に言うならば海水と淡水が混じった汽水のような水でしょうか。
魚は水中では浸透圧調整を行う必要がありますが、「好適環境水」の場合は魚にとって必要な成分が溶け込んであることもあり、浸透圧調整が必要ありません。
そのため、浸透圧調整の構造が違う淡水魚も海水魚も一緒の水槽で飼育することができるんですね。
また、浸透圧調整を行うために必要なエネルギーの消費は全体の30%と言われています。そのエネルギー消費が少なくなることにより魚の成長も早くなっていくんですね。
現在、販売等はしていない・・・とのこと

ボクも好的環境の水で魚を飼育してみたいです。

残念ながら現在、好適環境水を入手する手段がありません。
と言うことで、好適環境水に興味を持ってもらったかと思います。
ただ、現在は海水魚と淡水魚を同じ環境で飼育するための水自体は市販されておりません。
大学などで養殖実験を行う程度でまだ実用段階には至っていないんですね。

現段階では自分で調合して作るしかありません。
必要な成分の目安

以前、私が通っていた大学の学術研究部の中で好適環境に近い水を作っていた記録がありましたので、
それを参考にしてみます。
水 :10L
塩化ナトリウム :90g
塩化カリウム :6g
塩化カルシウム :2.5g
硫酸マグネシウム :4g
炭酸水素ナトリウム:1.9g
リン酸水素 :0.7g
明確な成分ではありませんので、あくまで参考程度でご覧ください。

げげ、どれも難しい名前で全くわからないな・・・

確かに薬品名だけ見ると難しいですが、
身の回りにある成分がほとんどですよ。
それでは、成分について詳しく解説していきましょう。
薬品について解説
水

まずは水です。これは水道水でも大丈夫です。
一度塩素を抜いておきたいので、可能なら汲んでから一晩置いておいた水を使用しましょう。
塩化ナトリウム

食塩。化学式はNaCl。
市販の食塩で問題ございません。スーパー等で購入して使用しましょう。
塩化カルシウム

通称塩カルです。化学式はCaCL2。
塩カルは水と反応して多量の溶解熱を発生し、水の凍結温度を大幅に下げる効果があります。
そのため、融氷雪として使用されることが多いです。
またビール、清涼飲料水等での 硬度調整、豆腐製造での凝固剤などの食品添加物としても使用されていますね。

塩化カリウム

ナト・カリ塩は食塩の主成分である塩化ナトリウム(NaCl)の一部を塩化カリウム(KCl)に置換した減塩効果のある食塩です。
清涼飲料水・粉ミルクに添加、減塩食品の食塩代替物、電解液、医薬品と、様々なことに使用されていますね。

硫酸マグネシウム

次は硫酸マグネシウムです。
これは安全性が高く、医薬用や食品添加物、飼料添加物、肥料の原料として広く使用されています。
また、医薬用としては主に下剤として古くから用いられており、腸内の水分吸収を抑えます。
さらに、水分を集約し、便を軟化させ、排便を促す作用があります。
バスソルトとしても使用されます。

炭酸水素ナトリウム

重曹。化学式はNaHCO3、
重曹は弱アルカリ性の性質を持つので、酸性のものを中和する働きがあります。
酸性の油汚れや皮脂の汚れ、焦げ付きなどの汚れを落とす効果があるのです。
また、食品として使用されることがあり、有名なのはカルメ焼きでしょうか。

リン酸水素

リン酸ナトリウムは、食品添加物としてハムやソーセージなどの食肉の結着剤として使われています。
かんすいの原料やpH調整剤として使用されています。
食品用途以外では、リン酸系の洗剤に配合されたり、植物のウイルス病対策としてハサミなどの消毒に使われることもあります。
全部揃えるといくらになるの?

・水 ほぼ0円
・塩化ナトリウム 500円程度(食塩として購入)
・塩カルシウム 1000円程度(融雪剤として購入)
・塩化カリウム 1500円程度(減塩食塩として購入)
・硫酸マグネシウム 1000円(バスソルトとして購入)
・炭酸水素ナトリウム 1000円程度(重層として購入)
・リン酸水素 3000円

こうして
意外と入手はしやすいものが多いんですね。
入手難易度として高いのはリン酸水素程度でしょうか。
それ以外はスーパーマーケットやホームセンターで揃えることができますし、
ECサイトを使用すれば可能です。

あとは適正の分量を計測するために測りやビーカーも用意しておくといいですね。
まとめ

と言うことで、海水魚とフナを飼育できる水について解説してきました。
人工海水と比較すればコストが抑えられると言う点ですね。
初期投資こそかかりますが、一度試薬を入手してしまえば長く使用できますので、
コスパはいいかと思いますね。
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