【刺身】フナを生で食べてはいけない理由|寄生虫のリスク

寄生虫学

今回はフナを生で食べてはいけない理由についてと対処方法について紹介して行きます。

一部地域ではまだフナの刺身や「鮒の子まぶし」という刺身に茹でた卵をかけて食べる文化があると言います。

しかし、どうして生で食べるのは勧められていないのでしょうか、
これを読めばフナの刺身を食べることが勧められていない理由がわかります。

それではご覧ください。

生で食べてはいけない理由|泥臭いから!?

フナはなまじゃ食えないはずさ、泥臭い生臭い、Fish! Fish!Fish!

野猿の「fish fight!」でのサビの歌詞部分にもあるように、
フナは生食を避けた方が良いと勧めた内容となっております。

その理由として語っているのが「泥臭さ」と「生臭さ」という官能度によるものとなっています。

女の子
女の子

やっぱり、フナは本当に臭い魚なんですか?

確かにフナはあまり綺麗とはいえない河川や湖沼に生息していることも多いですし、
その中でも水底の泥や砂を吸い込んでその中の餌を越して食べる生態をしています。

一見すると汚い河川に生息している臭い魚とは思いますが、実際に料理をすると話は別です。

先生
先生

原因は胃袋と皮になりますから、その部分を摘出して仕舞えば綺麗な刺身になります

普通の川魚は小型で難しいかもしれませんが、フナはそれなりの大きさがありますから、
包丁さばきが上手い方でしたら綺麗に身を取り出すこともできますし、身もぷりぷりしていて美味と言われています。

生食NGの1番の理由|寄生虫

と言うことで、フナを生で食べるという習慣がある地域もありはしますが、
それは一部であり、生食を控えている地域がほとんどですね。

その1番の理由としては、フナの生臭さよりも「寄生虫の危険性」が大きいのではないだろうか。

フナに寄生する生物|肝吸虫

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今回は、フナに寄生する生物で最終宿主がヒトである肝吸虫について説明をして行きましょう。

肝吸虫は、ヒトを含む幅広い哺乳類を終宿主とし、肝臓内の胆管に寄生する吸虫の1種です。
以前は「肝臓ジストマ」と呼ばれていましたね。

生息分布は日本列島、朝鮮半島、中国、台湾と東アジア一帯に広く分布し感染していますね。

肝吸虫の生活史

成虫は、寄生している胆管内で1日に約7,000個の卵を産みます。

卵は、水中に流出しても孵化せず、湖沼や低湿地に生息する巻貝の1種、マメタニシに摂食されてはじめて消化管内で孵化してミラシジウム幼生を生じますね。

ミラシジウムは第1中間宿主であるマメタニシの体内で変態してスポロシスト幼生となり、マメタニシの体内で食物を摂取して成長すると、

発育してセルカリア幼生となり、これが成熟したものからマメタニシの体から水中に泳ぎだす。

セルカリアは活発に遊泳して第2中間宿主となる淡水魚に達し、鱗の間から体内に侵入して主として筋肉内でメタセルカリア幼生となります。

肝吸虫が寄生し、第2中間宿主となる淡水魚はコイ科を中心にフナ類をはじめとしたホンモロコ、タモロコなど約80種もあります。

コイ科以外ではワカサギの報告もありますから、ワカサギ釣りしての生食も安全ではありませんね。

こうした魚をヒト、イヌ、ネコ、ネズミなどが生で摂食すると、
小腸で幼虫が孵化し、胆汁の流れを遡って胆管に入り、肝臓内の胆管枝に定着する。

23-26日かけて成虫となり体内で産卵を開始して行きます。
成虫の寿命は20年以上に達ほどですね。

男の子
男の子

下手すると中間宿主のフナよりも長生きですね。

宿主の寄生先一覧

宿主
第1中間宿主
マメタニシ

第2中間宿主
フナ類、コイ、モツゴ、モロコ、ゼゼラ、ヒガイ、タナゴ、ウグイ、ワカサギ

終宿主
ヒト、イヌ、ネコ、ネズミ、ブタ

日本国内での分布

 古くから知られている流行した地として、岡山、琵琶湖、八郎潟、利根川、吉野川などが知られている。

他に宮城、新潟、埼玉、長野、富山、濃尾平野、京都、大阪、和歌山、兵庫、広島、山口、香川、徳島、福岡、熊本などに流行した。

寄生するとどうなるの?|肝吸虫症

症状

肝吸虫は、成虫が寄生する胆管を塞栓してしまうため、多数個体が寄生すると
胆汁の渋滞と虫体の刺激によって胆管壁と周囲に炎症をきたす恐れがありますね。

 さらに肝組織の増殖、肝細胞の変性、萎縮、壊死が進行し、肝硬変へと至ります。

そのため食欲不振、全身倦怠、下痢、腹部膨満、肝腫大をきたし、
やがて腹水、黄疸、貧血などを起こすようになります。

ただし、少数個体のみの寄生では無症状に近いですね。

予防

  ホンモロコやタナゴ類のような小型のコイ科魚類を流行地で生食するのが最もリスクが高いですね。

フナやコイはモツゴやホンモロコなどに比べるとメタセルカリアの保虫率ははるかに低いですが、
刺身などにして生で食べる機会が多いため、用心しなければならないですね。

肝吸虫症の治療方法

  感染した場合、古くは塩酸エメチンなどの副作用の強い薬を用いざるを得なかったが、

1980年代以降プラジカンテルの登場によって1日の投与のみで根治が可能になりましたね。

おまけ|著名人の死因と俗説

  芸術家にして美食家の北大路魯山人の死因として
「生煮えのタニシを好んで食べたため、肝吸虫の重い感染を受けて肝硬変を起こして死んだ」
とするものがあります。

しかし肝吸虫の中間宿主となるマメタニシは食用となるタニシ類とは類縁が遠く、また小さくて食用にされることもありません。
  当然のことながらマルタニシやオオタニシのような一般に食用とされるタニシに肝吸虫が寄生していることもありません。

さらに、マメタニシは第一中間宿主であるため、別にこれをヒトが生で食べたところで感染能力を有しないので、感染源とはなりません。

したがって、魯山人の感染源は、コイやフナなどの淡水魚の刺身を食べたことで肝吸虫の寄生してしまったなのではないかと考られますね。

  ちなみに淡水産の水産物の表面には蛭のような他の寄生虫の感染態の幼生が付着している危険性はあるので、タニシを食べるときは十分火を通して食べるべきではありますね。

フナで刺身を食べるためには

それでは、フナを刺身で食べるにはどのようにしたらいいのでしょうか。

一つの方法としては「生食」を控えることです。

肝吸虫を殺虫すればいいので、

現在、加熱せずに寄生虫を殺虫する方法は冷凍に限られており、 マイナス20℃で24時間以上冷凍することにより死滅できます。

男の子
男の子

業務用の冷凍庫を用いる必要がありますから一般家庭では難しいですね。

それでも魚身のドリップ流出、退色、食感の軟化などの品質劣化を引き起こしますから、生食感での刺身を楽しむのは難しそうですね。

先生
先生

ちなみに生食ができる地域がある理由は、その地域に寄生虫が蔓延しておらずに生で食べても感染しないからとも言われています。

女の子
女の子

リスクはありますけどね。

ポイント

冷凍すれば殺虫できるが、一般レベルでは難しい。

まとめ

今回はフナを生で食べてはいけないとして肝吸虫による寄生虫の感染リスクについて解説して行きました。

寄生虫の感染リスクを避けて生で食べるのは控えたほうが良さそうですね。

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