天然記念物に指定されているフナの仲間たち|金魚

環境学

今回は天然記念物に指定されているフナの仲間(金魚)について解説していきます。

天然記念物ってカモシカやオオサンショウウオなどの数の少ない生き物だけじゃないのか、
と思うかもしれませんが、意外にもフナの仲間にも天然記念物がいたりします。

一体どんな種類なのか、みてみましょう。

そもそも天然記念物とは、

天然記念物とは
学術上価値の高い動植物、地質鉱物になります。国や都道府県、市町村が指定し、それぞれが定めた法律や条例によって保護されています。

日本では3種類の金魚と2種類のフナの仲間が天然記念物に指定されています。

天然記念物に指定されている金魚の場合は、生産地以外での飼育は一般的に難しいと言われ、流通量が少なくて、現地ではなかなか見られません。またそれぞれの体の特徴を出すために特別な技術が必要とされています。

ジキン【地金】

1958年天然記念物指定|愛知県

上からの鑑賞でその魅力が引き立つ、透明感のある白い体と赤いひれが特徴。口元は紅を差したように赤く染まっています。
江戸時代中期に作出された起源の古い種で、愛知県の天然記念物に指定されています。

特徴的な赤と白の退職は人工的なもので、普通に育てると赤色になります。
そのため赤い鱗や皮膚を剥ぎ、体を白色、口と各ヒレを赤色にしています。

ナンキン【南京】

1982年天然記念物指定|島根県

白く輝くボリューム感のある体と、小さな頭の組み合わせで上品な雰囲気を持つ種類。
江戸時代中期から島根県の出雲・松江地方で飼い継がれてきた地金魚で、出雲南京とも呼ばれます。昭和57年には、島根県の天然記念物に指定されました。
体色は白色や赤色が控えめなさらさです。赤色を白くするために、色素を壊す梅酢などを使うこともあります。

トサキン【土佐金】

1969年天然記念物指定|高知県

“金魚の女王”と称される、高知の天然記念物。ドレスのように優雅にひらひら靡く、前方が反転した大きな尾が特徴です。鉢と呼ばれる容器で飼育することで尾びれが反り返ります。
戦争と大震災により数が激減し、生き残った6日が現在のトサキンの元となっています。

テツギョ【鉄魚】

1933年天然記念物指定|宮城県

フナ型の体と、長く伸びる尾ひれなどのすべてのひれが特徴。宮城県で発見された野生のフナと金魚の交雑種であるとされる種類です。ほかのフナ類と異なる性質をもつことから昭和8年に天然記念物に指定されました。
当館では、鉄魚の中でもよりヒレが優雅に長く伸びる“羽衣天女(はごろもてんにょ)”と呼ばれる種類が泳いでいます。

ヒブナ【緋鮒】

1937年天然記念物指定|北海道

ヒブナ体色が黄色がかった赤色(緋色)をしているフナ。金魚の祖先とも言われています。
北海道釧路市の 春採湖では「ヒブナの生息する湖」として、天然記念物に指定されています。

突然変異でヒブナが生まれたという説が有力だったが、遺伝子解析で約100年前に放流された金魚が野生のフナと交雑してヒブナが誕生したとする研究成果を、京都大や同市立博物館などのチームがまとめています。

まとめ

ということで、今回は天然記念物について解説していきました。

普段は見ることができない個体ですが、稀に水族館などの金魚の特別展などで見ることも可能かと思います。

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