鰭式とは|魚の鰭の数え方とフナの鰭式

分類学

今回は「鰭式」についての表記とフナの分類における鰭式について解説していきます。

これを学ぶことができれば魚の詳しい分類方法についての知識の一つとして活用することができます。

鰭式の利用方法

先生
先生

鰭式とは、魚の鰭にある鰭条を数えることです。

哺乳類を見分けるのに歯の数を数える歯式と同様に
フナなどの硬骨魚類におけるそれぞれの鰭条の数は、種の分類における重要な形質として利用できます。

鰭の表記

鰭式での各鰭の表記は、それぞれの鰭の英語の頭文字をとって略記していきます。

背鰭=D(dorsal fin)
臀鰭=A(anal fin)
尾鰭=C(caudal fin)
胸鰭=Pⅰ (pectoral fin)
腹鰭=Pⅱ (Pelvic fin)

鰭条の数

それぞれの鰭の鰭条の計数の仕方ですが、鰭と体の付け根部分である基部を見て数えましょう。
鰭条は途中で分岐することもありますからね。

また、鰭には棘と軟条の2種類存在しています。
棘数の場合はローマ字で表し、軟条数はアラビア数字で表記しましょう。

表記法

  • 棘数と軟条数はコンマ(,)で連結されます。
  • 背鰭が2基以上あって離れる場合はハイフン(一)でつなぎます。
  • 小離鯺はプラス(+)でつなぎます。
  • 鰭条数に変異がある場合は波線 (〜)でつなぎます。
(例1)
 臀鰭2棘13軟条=АI,13

(例2)
 胸鰭26軟条=Pⅰ26

(例3)
 腹鰭1棘5軟条=PⅱI,5

(例4)
 第1背鰭15棘、第2背鰭3棘に12軟条、8基の小離鰭=DXV-II, 12+8


真骨魚類の鰭条は、骨質で形成されており、中央に不対の1本からなる棘条と左右1対の軟条の2種類に分かれる。

A:棘条、B:不分枝軟条,C:分枝軟条

フナの鰭式による見分け方

フナは分類が難しい魚の一つと言われていますが、分類の指標として鰭式を用いることがあります。

先生
先生

それが背鰭です。
種類によっては背鰭の鰭式だけで分類することも可能になっています。

フナ類の背鰭の鰭式一覧

フナの種類背鰭分岐軟鰭条数
キンブナ11〜14本
ニゴロブナ14〜18本
オオキンブナ13〜19本
ギンブナ13〜21本
ナガブナ14〜21本
ゲンゴロウブナ15〜18本

フナの場合は背鰭分岐軟条数(背鰭の枝分かれした軟条)を数えていきます。

先生
先生

この手法ならば、フナが背鰭を伸ばした際に撮影した写真だけでも計数することができます。

注意すべき点としては、背鰭の最後の軟条は分岐して2本に見えることがあります。
そのような場合は1本として数えましょう。

写真や生体を数えて15本だった場合は14本かもしれませんから、
この計測を正確に行うためには背鰭を切開しないとわかりませんね。

背鰭分岐軟条数だけで同定できる種類は、キンブナとギンブナが対象です。
最大値である20~21本だった場合のギンブナ、最小値の11~12本はキンブナだけということになりますね。

コメント