琵琶湖で採れたフナの同定|分類学実践編

採集日記

今回は、琵琶湖の魞で捕まえたフナについてみていきます。

琵琶湖にはゲンゴロウブナ、ニゴロブナ、ギンブナの三種類が存在しています。これはどのフナになるのでしょうか。

せっかくなので、分類学で必要な係数に関しても調べていき、なんのフナなのかも調べていけるといいですね。

フナの計測

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今回捕まえたフナは、果たして何の種類なのでしょうか?
それを調べるためにも、 魚体の 各部分を調べていきます。

  • 全長: 44.0cm
  • 尾叉長:41.0cm
  • 標準体長:37.0cm
  • 体高: 14cm

体長÷体高=体高比によって求めます。

体高比=標準体長÷体高
    =37.0÷14.0
    =2.64

体高は肉付きの違いによる個体差や卵を持っていたりして変化するため決め手に欠けます。

この体高比だけで同定できる種類はいませんが、少なくともキンブナとオオキンブナが除外されました。

そもそも琵琶湖に生息しているフナはこの2種が含まれてはいないんですけど、国内移入種の可能性も捨てがたいですからね。

鰭式の係数

背鰭分岐軟条数は背鰭の枝分かれした軟条を数えます。 注意すべきは最後の軟条が基底部で分岐して2本に見えることがあります。 この場合は1本として数えます。
  • 背鰭:16軟条
  • 臀鰭:6軟条
  • 腹鰭:7軟条

この場合、フナの背鰭分岐軟条数は16本となります。

背鰭が14本以上なので、キンブナではないことは明らかになりました。

ただ、これも体高比の時点で既にわかっていますからね。

鰓耙数

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魚類のエラは側面に4枚づつ付いています。

鰓蓋付近をハサミやナイフで開き、最も外側にある弓状の第一鰓弓を取り出します。 弓の内側の半透明で櫛状の部分が鰓耙でその数が鰓耙数になります。

鰓耙自体は水で濡れているとくっついていることもありますから、針など先端がとんがっているものを用いて計測していきましょう。

このフナの場合は36本でした。
鰓弓を切り取る場所が少し悪かったので、もう少しあったかもしれませんね。

少なくとも51本未満の時点でニゴロブナおよびゲンゴロウブナは除外されますから、この鰓耙数からもギンブナであることが絞り込むことができましたね。

まとめ

ということで、今回は琵琶湖で採れたフナの同定作業をしてみました。

私は長年フナを見ているので、フナの顔や体つきで種類がだいたい想像つきますが、こうして数字で表せると確証が持てますね。

あくまでも解剖することが前提にはなりますので、生きている状態や飼育さいているフナでは難しいですが、川で捕まえて食べることが前提のフナならばここまで計測してみるのもいいですね。

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