フナの分類体系を徹底解説|コイ目・コイ科・フナ属の特徴とは?

生物学

生物の分類体系は、自然界の多様な生物を理解するための重要な方法です。
中でも、私たちに馴染み深いフナは、分類学上でどのような位置にあるのでしょうか?

フナは、18世紀にリンネが提唱した生物分類体系に基づき、コイ目、コイ科、フナ属という階層で分類されています。

この記事では、フナの属する「コイ目」や「コイ科」の特徴を詳しく見ていきながら、
フナ属の具体的な分類や特徴をわかりやすく解説します。

先生
先生

分類学の視点からフナの生態や進化の面白さを一緒に学んでいきましょう。

分類体系について​​|分類学の基本

生物の分類体系は、生物が共通する特徴によって種を階層的に分類するシステムであり、生物学の発展に重要な役割を果たしています。

分類体系には多様な方法が考えられていますが、現代の生物学では、18世紀にスウェーデンの博物学者、カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)が発案した「リンネ式分類」が採用されています。
この体系では、生命を界から種までの階層に分け、特徴に基づいてまとめる方法を用います。

「フナ属」という分類もこのリンネ式分類のもとで成り立っています。

フナ属に含まれる魚類は、動物界、脊索動物門、硬骨魚綱、コイ目、コイ科、フナ属といった分類上の階層に分けられ、これにより他の魚種との違いや関係性がわかりやすく整理されています。

​コイ目 Cyprinformes​

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コイ目にはコイやフナのほか、アオウオやゼブラフィッシュなどの魚類が含まれ、特にアジアや北アメリカ、アフリカに多く分布しています。
南アメリカには生息しておらず、化石記録としては約5000万年前の前期始新世にさかのぼります。

コイ目魚類の特徴
  • 胸鰭が体の比較的低い位置にあり、腹鰭は腹部の中央付近に位置する
  • 顎に歯がなく、代わりに咽頭歯が発達している
  • 頭部に鱗がない
  • 脊椎骨の4つが変形してできた「ウェーバー器官」を持ち
    浮き袋と内耳をつないで音を伝える役割を果たしている

コイ目魚類には、ウェーバー器官と呼ばれるの感覚器官があります。これは、脊椎骨の4個が変形してできたもので、内耳と浮き袋をつないでおり浮き袋から内耳へと音を伝えています。

コイ目魚類だけでなく、カラシン目、ナマズ目、デンキウナギ目魚類もウェーバー器官を持っているほか、ネズミギス目魚類もその 前駆的な構造をもっています。そのためこれらは「骨鰾類」と呼ばれます。

代表的な科はコイ科である。コイ科の特徴として喉の奥にある咽頭歯がよく発達することが挙げられます。また、唇は薄くひだや突起などがなく、上顎を前に出すことができる等の特徴をもっています。

代表魚はコイ、キンギョ、ゼブラ フィッシュであり、それぞれ食用魚、観賞魚、実験魚として重要ですね。
他にもギュリノケイルス科、ドジョウ科、タニノボリ科、サッカー科が存在しています。​​

​コイ科 Cyprinidae​

 コイ科は、コイ目に所属する魚類の分類群の一つ。

コイ科は淡水魚のグループとして最大規模の科で、約220属、2,420種以上の魚が記載されており、
コイやフナ、金魚など、観賞用や食用、実験用としても広く利用されています。

コイ科魚類は北アメリカ、アフリカ、ユーラシアの各地域に広く分布しますが、南アメリカやオセアニアには生息しません。

コイ科という名前は、古代ギリシャ語でコイを意味する「キュプリーノス」に由来し、
学名はCyprinidaeになります。

コイ科の魚は種類によってサイズが大きく異なります。
最長で3メートルに達するパーカーホから、5センチメートル未満の小型種まで多様です。

先生
先生

実はギンブナの用に体長30cmを超える種類は大型の部類になるんですよ。

女の子
女の子

コイ科魚類は小さい種類が多いんですね。

現在、コイ科は11の亜科に分類されており、分類体系は未完成ながらも改訂が続けられています。

​コイ亜科魚類 

コイ科の中でも、さらに細分化されたのがコイ亜科であり、フナ属もこの中に含まれます。
コイ亜科にはコイやフナのほかに、インドに生息するカトラ属やアジアのソーブワー属などが所属しています。

かつてコイ亜科に含まれていたカトロカルピオ属のパーカーホは分類見直しによりバルブス亜科に移され、現在のコイ亜科には4つの属が存在しています。

コイ亜科の主要な魚類としては、以下が挙げられます。

コイ亜科魚類の種類

コイ属(コイ)
食用や観賞用として重要な魚

フナ属
(ゲンゴロウブナなど):淡水魚として日本で親しまれる魚

カトラ属
1属1種のカトラが含まれ、インドに分布

ソーブワー属
レッドフィンレッドノーズなど1属1種が含まれる

​フナ属 Carassius​

フナ属には、日本でよく知られるギンブナやニゴロブナなどが含まれます。
表面上は複数の種が存在するように見えますが、実際には3つの主要な種があり、その他は亜種に分類されることが多いです。

フナ属魚類はヨーロッパからロシア、中国といった東アジアに広く分布し、
日本の河川や湖沼にも多く生息しており、古くから日本人と深い関わりを持っています。

鰓耙数の違い

フナ属の中で種ごとに異なる特徴の一つに、鰓耙(さいは)数の違いがあります。
鰓耙数は呼吸や摂餌に関連する特徴で、種ごとに大きな違いが見られます。

種による鰓耙数の違い

ヨーロピアンブナ(C. carassius)
鰓耙数は23〜33本

その他のフナ(C. auratus)
鰓耙数は39〜50本

ゲンゴロウブナ(C. cuvieri)
鰓耙数は96〜128本

これにより、同じフナ属の中でも異なる生態や分布地域に適応していることがわかります。

フナ属の分類体系を理解することで、フナの進化的な背景や地域ごとの特徴を知ることができ、
自然環境の中でフナがどのように生き残り、どのように人間と関わってきたかを知ることができます。

まとめ

フナの分類体系について理解することで、フナがどのように他の魚類と区別され、どのような進化の道筋をたどってきたかが見えてきました。

分類学は生物を体系的に整理し、進化の謎を解くための大切な手がかりです。

フナは私たちの日常に近い存在でありながら、分類学的には多くの興味深い特徴を持っています。
この記事で紹介した分類体系を通じて、身近な生物に対する理解がより深まると嬉しいです。

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