【フナ飼育】魚病まとめ

寄生虫学

今回は魚の病気と治療方法について解説していきます。

それぞれの病気の症状と原因、そして対策を記載していきますので、万が一病気にかかったかもしれない場合にはこちらを参照してみてください。

おすすめの治療薬や投薬方法についても記載していますが、症状の進行状況によっては効果があるとはいいきれない場合もあります。

先生
先生

いずれにせよ、前章でも語ったように原因の徹底排除と早期発見が大事になっていますので、ご了承ください。

それではどうぞ。

白点病

先生
先生

全身に白い点が現われ、窒息死する場合もあります。

症状

水槽飼育の際に最も多い病気で、春先や秋などに水温15℃前後のときによく発生します。
体表や鰭にゴマ粒大の白い点が現われ、全身に広がっていきます。症状が進むと食欲が無くなり、最後には死んでしまいます。鰓に寄生する場合は窒息死する場合も少なくありません。
白点病に掛かった個体はガラスや底砂にこすり付ける動作をよく見せますが、その結果、患部がただれて他の病原菌が侵入し、急速に衰退してしまう場合もあります。

原因

原生生物のイクチオフチリウス(白点虫)という繊毛虫の寄生によっております。
白点虫は魚の表皮の下にもぐりこみ、魚体から栄養を取って直径5mmほどに大きくなります。成長するといったん離れて、水底で胞嚢体を作り、その中で数百もの小虫に分裂。小虫は水中に泳ぎ出て魚に寄生します。

対策

魚体に寄生している親虫は少々の薬では死にません。水温28℃以上で死ぬ小虫をねらって駆除が主になります。2~3日の間、水温を30℃近くまで上げる。
薬剤はメチレンブルーやニューグリーンFが効果的です。

白雲病 (別名・イクチオボド症、キロドネラ症)

 水温の変化が激しい、春先や梅雨時期に多発する。

症状

体の一部分や鰭に白い雲のような発生し、ひどくなると全身を覆ってしまいます。感染した個体は元気をなくし、底でじっとしていたり、えさを食べなくなることが多くなる。エラに症状が現われると、呼吸困難を起こし、死に至ることもある。

原因

鞭毛虫のイクチオボド(コスティア)、繊毛虫のキロドネラが皮膚に寄生した場合に発生します。イクチオボドは長さ15μm。キロドネラは50μmほどの大きさである。
白い雲のような斑点は、寄生虫の刺激によって金魚が多量に分泌する粘液です。寄生虫はこの粘液をエサとして、さらに増殖していきます。

対策

濃度10‰の食塩水に30分ほど浸けるようにします。これを数日間繰り返してください。また、ホルマリン25PPM溶液に1~2日浸けても効果があります。
水質が悪化すると発生しやすいので、日ごろの管理をしっかりするようにしましょう。

ダクチロギルス症、ギロダクチルス症

発病すると治りにくい病気。予防は水質の保持。

● 症状

皮膚やエラに赤い斑点がポツポツとでき、ひどくなると、患部は異常分泌された粘膜で覆われ、ただれてしまいます。エラに寄生すると症状が進みに連れて呼吸困難に陥りあえぐようにクチをパクパクし、ついには死んでしまいます。

● 原因

扁形動物の吸虫類、ギロダクチルスやダクチロギルスの寄生によって感染する病気です。

● 対策

一度発生すると、かなり厄介な病気ですから、予防が何より大切です。
最大の予防策はきれいな水を保つこと。多くの寄生虫は水質が悪化すると暗躍を始めます。ギロダクチルスやダクチロギルスの場合は生水が汚れやすい夏に多く発するので、より一層、水質保持に注意してください。
病魚が出たら、ホルマリン(25PPM)と水産用マゾテン(0.2~0.3PPM)を混ぜて、1~2日間薬浴させると効果があります。また不快害虫駆除剤であるレスバーミンでの薬浴も効果があるといわれています。いずれも感知には多くの時間を要すので、清潔な環境で併発症の無いように行ってください。

チョウ症(ウオジラミ)

チョウは肉眼でも見つけられる大きさの寄生虫である。

● 症状

皮膚や鰭の付け根に小さな赤い点のような出血斑が現われます。症状が進みと、食欲がなくなって衰弱し、他の金魚から離れてじっとしていることが多くなります。ひどくなると死んでしまうことも少なくありません。
他の寄生虫と同じようにガラス面や底砂などに患部をよくこすり付けるため、、体をさらに傷めてしまうこともあります。

● 原因

甲殻類、チョウ(ウオジラミ)の寄生が原因です。チョウは2~5mm、偏平でほぼ円形の生き物で、肉眼でも見つけることができます。
チョウ(ウオジラミ)は金魚の体表に取り付いて、上顎の吸管を差し込み、盛んに血をすいます。差し込むとき、毒液を出すので、これも感染魚の衰弱の原因となります。

● 対策

一年中見られますが、5~6月と初秋は特に多く発生します。何時に増して注意深く観察しましょう。
発見したら、ピンセットなどで取り除くこともできますが、魚体を傷つけてしまいがちなので細心の注意を図って切除してください。薬浴の際にはレスバーミンなどの薬で駆除する方がより安全でしょう。

イカリムシ症

白い糸くずのように見える特大の寄生虫である。

● 症状

皮膚や鰭から、白い糸くずのようなものがぶら下がります。重症になるとくっついている部分が腫れ上がり、出血することも少なくありません。稚魚は死ぬこともあり、成魚でも衰弱しかねます。
この病気の場合、患部に固い物をこすり付ける動作がよく見られます。

● 原因

甲殻類、イカリムシが引き起こす寄生虫病です。イカリムシはコイ科の寄生虫の中でも特に大きな物で長さ10mmにも成長します。
頭部は「いかり型」でこれを魚体の皮膚や鰭に差し込み血液を吸って生活します。頭部以外は皮膚からぶら下がる格好となります。白い糸くずのように見えるのはこの部分です。

● 対策

ピンセットなどで抜き取ることもできますが、傷にならないよう、また寄生虫の頭部が残らないように注意が必要です。抜き取ったら、マーキュロクロムなどを塗り、消毒してあげましょう。
薬で駆除する場合は、チョウ症と併発していることも多く、水産用マゾテンやリフィッシュで対処するといいです。

トリコディナ症

 水質の管理が第一の予防。死に至る怖い病気。

● 症状

皮膚に小さな赤い出血斑ができて、ひどくなると粘液を異常に分泌し、白雲状にまでなります。
えらが冒された場合は、エラの色が濁った赤色になり、鰓蓋が異常に膨らみます。呼吸障害を起こし、死ぬことも少なくありません。水槽飼育だけでは少なく、池で飼っている場合に掛かりやすい病気です。

● 原因

繊毛虫、トリコディナが皮膚や鰓、鰭に寄生して起こる病気です。トリコディナは丸い形をしていて、周囲に細い毛がはえています。この繊毛を動かしながら、円盤のようにぐるぐる回って移動し魚体に取り付いていきます。
同じ繊毛虫のキロドネラが寄生してもトリコディナ症と同じような症状が現われます。

● 対策

汚れた水で飼育していると、この病気はよく発生します。何よりも水質の管理が怠らないことが第一の予防でしょう。病魚が出たら、水100Lあたりに2.5ccのホルマリンを加え、1~2日間薬浴させると効果が上がります。

水カビ病

最大の予防は、金魚の体を傷つけないこと。

● 症状

体表や鰓などに水を含んだ白い綿のような「カビ」が付着します。重症になると全身が綿状のものに覆われてしまい、泥やゴミが付着するので、『どろかぶり病』とも呼ばれています。
水カビ病にかかった魚は水面近くをじっとしていたり、患部の肉がただれたり、腐ったりして最後には衰弱死してしまいます。

● 原因

水カビ病は、水生菌類であるサポロレグニアやアクリアが、体の傷に繁殖することによって起こります。
*体に傷のない健康な魚には、水カビ病が発生することはありません。

● 対策

細菌の感染を予防するためにはは丁寧に扱い、体表に傷をつけないことがいちばんです。
水生金が発生しやすい温度は15℃前後。このときに魚体に傷があるとほとんど必ずといっていいほど水カビが発生してしまいます。症状が現われた魚にはメチレンブルーやグリーンFなどの溶液で薬浴させると効果があります。

松かさ病

全身の鱗が逆立って松かさのように見える

● 症状

部分的、もしくは全身の鱗が逆立ち、見た目が「松かさ」のように見えるのが特徴です。
症状が進無に連れて、元気が無くなり、群れから離れてえさを与えてもよってこなくなります。重症になると、出血して赤い斑点が出たり、腹部に水が溜まって膨らんだり、眼球が飛び出すなどの症状も出てきます。最後に端に至る恐ろしい病気です。

● 原因

エロモナス菌という細菌が感染したため、という説が有力ですが、他にもウィルス感染説、栄養障害説などもあり、まだはっきりしたことが分かっていません。
いずれにしても、鱗が逆立つのは鱗の裏側にみずが溜まるため。伝染性はあまり強くありません。

● 対策

症状が進まないうちに、病魚を隔離して適切な処置を施してやるのが一番。薬浴材としてはパラザン(観パラD)が効果的に発揮します。汚れた水で発生しやすいので、濾過槽の手入れは怠らないでください。
※純粋なココアを使用したココア浴で病状が回復したという説をよく聞きますが、正規の方法ではないので、あまりオススメしません。

穴あき病

肉まで露出してしまう、見た目にも悪い病気。

● 症状

出血、または充血した小さな斑点が鱗に現われ、次第に周囲にも広がっていく。出血・充血の状態が軽くなると、今度は鱗が透明になっていき、最終的には鱗が取れてしまいます。さらに、下の皮も剥がれてしまい、肉が露出し、カミソリでえぐった様な有り様になってしまいます。
外見からはとても重い病気のように見えますが、金魚は以外に平気で、健康なときとはほとんど変わりなく生活を続けます。

● 原因

はっきりとは解明されていませんが、傷口から細菌や水生菌が侵入して、起こるのではないかと考えられています。この病気はイカリムシやチョウ虫の寄生跡によく発生します。

● 対策

水カビ病と同じく、金魚の体に傷が付かないように扱います。低水温の頃に良く発生するのも、水カビ病と同じです。病魚が出たら、25℃以上に水温を上げると自然に治っていきます。
薬剤はパラザンDとグリーンFゴールドが効果的です。

エラぐされ病

傷口から感染し、呼吸困難から死に至る。

● 症状

エラが暗赤色か灰白色になり、エラブタが異常に膨らんでいきます。
ひどくなると、エラが部分的に掛けていき、粘液の分泌が盛んになります。群れから離れて水面近くで漂うことが多くなり、呼吸困難に陥ってやがて死に至ることもあります。

● 原因

フレキシバクター・カラムナリスという細菌が傷から感染し、引き起こされる病気です。寄生虫によってえらが傷ついた時などに良く発生します。

● 対策

傷口から感染するので、普段から丁寧に扱い、寄生虫病の予防に努めましょう。
薬浴材ではパラザンD、グリーンFゴールドとリフィッシュが良いでしょう。フレキシバクター・カラムナリスは塩分に弱いので、食塩水と静養するとより効果的です。

尾ぐされ病

伝染性が強い、金魚に多い病気

● 症状

尾ビレの先端が白く変色し、あちこちが切れていきます。症状が進行すると、尾ビレが爛れるように溶けたり、尾の付け根まで変色したりと非常に見苦しくなります。

● 原因

エラぐされ病と同じく、傷ついた部分にフレキシバクター・カラムナリスが感染して引き起こされる病気です。
フレキシバクター・カラムナリスは、このほか口先にも感染し、この場合は「口ぐされ病」とも呼ばれます。

● 対策

金魚の病気の中でも、かなり多く見られる物の一つです。非常に伝染病の強い病気なので、予防には最新の注意を図ってください。
まず、普段から、ヒレを傷つけないように十分注意します。水換えや掃除など、網で掬う場合は特に丁寧に扱いましょう。新しい金魚や水草を入れる場合は、菌を持ち込むことがあるので、しばらくの間は目が放せません。
病魚が現われた場合は、エラぐされ病と同じ処置を行ってください。

消化不良

金魚もお腹を壊す。フンで判断、お腹の調子。

金魚も人間と同じで、食べすぎたり、古くなって変質してしまったエサを食べると、お腹を壊します。

健康な金魚の糞は、肛門から長いひものようにぶらさがっていますが、下痢をすると液状や白っぽい糞を続けざまに噴出させます。また便秘の為に粘液に包まれた不消化のフンを出すこともあります。

こんな場合は2~3日エサを与えずに様子を見てみましょう。金魚がそこの砂利をついばんでみたり、動きが活発になってきたら、新しいエサを少しずつ与えていきます。エサの量は5分以内に食べ終わるぐらいが適当です。

イトミミズなどの生きエサを与えている場合は、きれいな水で良く洗ってから与えてください。 生餌に付いた寄生虫や細菌などの病原体を、金魚水槽に持ち込まないことが大事です。

ガス病

酸素が飽和状態になると起こる病気

水中に酸素や炭酸ガスが多すぎる場合に良く起きる病気です。

 初期には尾びれなどに気泡が溜まります。重症になると気泡が破れて尾鰭が切れたり、目に気泡ができた末に眼球が飛び出してしてしまうこともあります。

 ガス病は、夏の日中、緑色の水の池で良く発生します。植物性のプランクトンが盛んに光合成を行い、酸素が飽和状態になるからです。これを防ぐためにも、日中はスダレやヨシズで日除けます。また、エアレーションをして過剰な酸素を飛ばすのも効果的です。 

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 外傷

細菌や水生菌は傷口から感染する。

「病気」ではありませんが、その原因となるものに外傷があります。細菌や水生菌の感染を引き起こす物として見逃すことができません。

魚の体は柔らかいのでちょっとしたことで傷ついたり、鱗が取れてしまうこともあります。水槽から取り出すときには丁寧に頭からそっと掬ってください。

先が尖ったアクセサリーなども水槽には入れないようにしましょう。

薬は正しく使いたい

簡単な薬浴の手順と、経口投与の方法

●発見したらすぐ治療

飼育魚が病気になっても何の治療もしないようでは飼育者として失格です。病魚は衰弱するばかりで、ひどい場合は伝染して水槽内全滅ということにもなりえません。
病気を発見したら原因をつかんで、速やかに手を打つようにしましょう。治療法には大きく分けて3つあります。

投薬の種類

短時間薬浴
 病魚を取り出して、高濃度の薬液に数秒から数分間浸ける方法

長時間薬浴
 水槽や池に直接薬を溶かす方法

経口投与
 エサに混ぜて与える方法

●薬浴の濃度は正確に

薬の使用は慎重に行わなければなりません。
少なくては効き目がありませんし、多すぎては病魚に害を与え殺してしまうこともあります。

どの薬をどの濃度で与えるか、店の人によく聴いてから買い求め、説明書をよくみてから使うようにしましょう。

薬よくは薬によって違いますが、たとえば200万分の1、あるいは20万分の1と非常に薄く溶かしてから使うのが普通です。

200万分の1だと、薬1gを2000ℓの水に溶かした割合になります。どうやったらそんなに薄められるのだろうか・・・と思われるかもしれませんが、

200万分の1の溶液の作り方

2リットル入るポリタンクに2gの薬を溶かします。(これが1000分の1の溶液)

この溶液1ccを2リットルの水に溶かす(200万分の1の溶液の完成)

先生
先生

コツさえつかめば非常に簡単です。

●エサに均等に混ぜる

経口投与の場合、薬にエサを均一に混ぜて与えます。薬の吸収を高めるためにエサの量は普段の半分程度に抑えてください。
また、病魚は食欲が落ちているので、最後まで食べたのかよく確認しましょう。

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