【外部形態】フナの体の表面の様子について(皮膚組織の構造)

生物学

今回はフナの体の表面の様子について解説していきます。

魚類は体の表面(体表)を覆う皮膚(外皮)を境界として、
水という世界に世界している生物になります。

先生
先生

これを読めば魚の表面の様子や体がぬるぬるしている原因など
を知ることができます。

体色や斑紋の元となる多数の色素胞も皮膚に分布しています。

皮膚の構造について

皮膚は表皮と真皮の大きく二つに分けることができます。

表皮は体の表面におり、表皮細胞(重曹扁平上皮)からなります。

表皮の表面に並ぶ細胞の表面には多数の微小隆起線が複雑に走っており、
顕微鏡で確認するとその姿は指紋のような模様だとも言われています。

表皮の表面は粘液細胞などから分泌される種々の成分を含む粘液の薄い膜で覆われています。
この幕をクチクラとも呼ばれています。

表皮層

表皮には多数の粘液細胞が分布しており、ここから分泌される粘液が体表を覆っています。

骨鰾類などでは棍棒状細胞が多く存在しています。

棍棒状細胞からは警報フェロモンが分泌されるといわれています。

追い星
追い星を持つフナ

フナをはじめとしたコイ科魚類は産卵期になると追い星が発生しますが、
これは表皮細胞に発生したケラチン質の物質になります。

先生
先生

人間でいうニキビみたいなものですね。

真皮層

次に真皮層について解説していきます。
こちらは表皮よりも下にある皮膚層で、表皮よりも厚いです。

通常、真皮は上層にある疎性結合組織からなる海綿層と、
その下の密性結合組織からなる緻密層に開けられます。

真皮にある2種類の層

海綿層
 鱗が並んでおり、多数の色素胞もここに並んでいます。
フナをはじめとした真骨類は鱗の周辺や色素胞の間にマスト細胞が分布しており、
外傷などによる炎症に反応してヒスタミンを放出したりします。

緻密層
 コラーゲン繊維が密に並んでいます。

真皮層は薄い皮下組織を介して筋肉層につながっています。

皮下組織は網目状に並ぶ疎性結合組織からなり、
摂食活動が活発な時期には多量の脂質が蓄積されます。

粘液

鱗の表面がヌメヌメしているのは鱗ではなく、鱗の下から分泌された粘液によるものとなっています。

この粘液によって魚と水との抵抗を減らして早く泳げるようにしたり、細菌や寄生虫の侵入を防ぐ役割もあります。

女の子
女の子

鱗と粘液は協力して
魚の体を守ってるんですね。

皮膚の機能

皮膚は鱗と同様に体を保護するとともに水の出入りに対しての壁という重要な働きをしています。

  • 体表から分泌している免疫関連物質による生体防衛作用
  • 粘液による水の摩擦の低減効果
  • 体の表面に分布する種々の受容体による感覚機能、

さらには皮膚呼吸への関与などがあります。

先生
先生

皮膚に果たす役割は大きいですね。

水分の移動を防ぐ役目

また鱗には粘液とともに体表を包むことで外部からの水の出入りを防ぎ体内の浸透圧を保つ役割もあります。

フナをはじめとした淡水魚の場合は体液よりも薄い水が体内へと侵入してきます。
そこで鰓や腎臓、消化管等で塩分濃度の調整を行います。

また体表から直接進入してくる水分に対しては粘膜と表面の鱗が水分の移動を止めて体液の濃度を一定に保ってくれています

魚を素手で触ると火傷する?

何らかの原因で鱗が取れてしまった場合、鱗自体はすぐに再生することができます。

しかし、体表の粘膜が傷ついてしまうと抵抗力が低下してしまったり、
水カビ病などに感染してしまい、最悪の場合死んでしまう恐れがあります。

また、古くから「釣った魚と乾いた手(素手)で触ると魚が火傷する」と言われることがあります。

しかし、人間の体温はせいぜい36〜7℃ですし、
その程度の熱では魚の皮膚を火傷状態が起こることでありません

正確には「魚の体表を覆う粘膜が傷つくことによるダメージ」を指します。

先生
先生

いづれにせよ、釣りで釣った魚をリリースする時は、
素手で魚体に触らないように配慮が必要ですね。

まとめ

先生
先生

ということで、今回は魚の皮膚の構造ときのうについて紹介してきました。

  • 皮膚は表皮と真皮の2種類が存在している。
  • 皮膚からは粘液が分泌されて体を保護したり、浸透圧調整をしている。

また、魚を素手で触ると火傷する・・・のではなく粘膜が傷ついてしまうことも解説しました。
今回の話を通じて魚に対する扱い方が少しでも変わっていただけたら嬉しいです。

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