川に入るだけで感染した!?「日本住血吸虫」の歴史

寄生虫学

今回は山梨県にある「富士湧水の里水族館」の展示である「日本住血吸虫の歴史」をもとに寄生虫の中でも特に恐ろしい生態をもつ「日本住血吸虫」について解説していきます。

一般的に寄生虫というのは寄生虫の「宿主」である魚や貝を生で食すことで寄生されるのですが、

中には川遊びをするだけで寄生虫に感染するリスクがあるという恐ろしいものでした。
そんな生物についての歴史について学んで正しく川遊びを楽しみましょう。

日本住血吸虫とは何者?

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日本充血吸虫は、山梨県に生息していた寄生虫でした。

日本住血吸虫は哺乳類の皮膚から「セルカリア」と言う状態で体内に侵入し、約5週間で血管内で生中となって卵を産み、哺乳類の便とともに体外へ排出され、川や水田などで孵化するライフサイクルをしています。

寄生虫の感染経路

日本充血吸虫の成長過程において、下から哺乳類の感染するまでの間に、中間宿主へ帰省することが長年に及ぶ研究で判明しました。

それが「ミヤイリガイ」でした。
孵化した卵がミヤイリガイの体内で成長した後に、「セルカリア」となり、水中に遊泳し哺乳類の体内に皮膚を突き破って侵入します。

中感宿主の「ミヤイリガイ」とは

発見者(宮入慶之助)から名前がつけられていますが、
「カタヤマガイ」や「ナママキガイ」などと呼ばれていた記録が残っています。

環境省のレッドリストでは、絶滅危惧1類に分類されている生物で現在は絶滅の危機に瀕しています。

生息環境

ミヤイリガイは水陸両生の貝です。
主に湿地全体を好み、沼や小川、水田の溝などを泥底に生息しています。
活発に水から這い上がってくるため、コンクリートの側溝などで見つかることが多いですね。

現在も山梨県の甲府盆地北西部や千葉県の利根川沿岸に生息していることが確認されています。

寄生虫により有病地となった甲府盆地

山梨県の甲府盆地は、かつて、地方病の最大の「有病地」と呼ばれていました。
山梨県以外に広島県や佐賀県、福岡県、千葉県でも地方病に苦しむ人々がたくさんいました。

日本住血吸虫に寄生されると

地方病患者の体は痩せ細り、腹だけが大きく膨らむようになります。
症状が進むと、肝硬変や脳疾患などにかかり死亡します。

江戸時代に刊行された医学書(翻訳断毒論)にも同じ症状の記録が残っているため、
古くから甲府盆地の人々を苦しめた寄生虫病であります。

寄生虫の撲滅運動

中間宿主の宮入貝を駆除することができれば、日本中血中の生活感を断ち、成虫になれないことがわかり、県民荘での撲滅運動が始まりました。

その傍ら寄生虫の駆虫薬「スチブナール」の研究、開発が進められていました。

昭和村では、かつては蛍が飛び交う村として有名でした。
しかし、ミヤイリガイの拾い集め駆除活動や薬物を用いた殺害、活動などにより、ミヤイリガイとともに、ホタルの幼虫の餌となるカワニナも一緒に減少し、蛍の姿は見られなくなりました。

流行収束宣言

1978年に山梨県内で発生した感染者の確認を最後に、新規の感染者は0人となり、1916年2月19日、山梨県知事によって地方病の流行が収束されたと宣言されました。

地方病対策に県が挙げて乗り出してから既に115年が経っていました。
現在国内には日本住血吸虫に寄生されていない無害な「ミヤイリガイ」がほんのわずかに残っているだけとなりました。

日本は日本住血吸虫を撲滅、制圧した世界唯一の国であります。

この経験を生かし、寄生虫研究者や医師などが同じ状況で苦しんでいる世界各地にき、対策や治療を行っています。

川遊びの楽しみ方

現在はほぼ絶滅していますから、川に入って寄生虫に感染するということはほとんどないですので、ご安心ください。

それでも、水中には雑菌やウィルス、血を吸うヒルなどが生息しています。
それらは体の傷から侵入することもありますので、決して川は安全な場所とは言い切れません。

可能ならば川遊びをする際には素肌を傷つけないように長靴やウェダー、ウェットスーツなどを着用しましょう。

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