【生理学】フナの体温と水温における反応

生物学
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先生
先生

今回はフナの「水温」の反応について様々な角度から解説をしていきます。

水温は魚の体調維持に直結し、成長や病気、繁殖といった場面にも関わってきます。

女の子
女の子

はーい

変温動物の温度管理が大事な理由

フナの水温による活動目安

水温5℃以下
 ほとんど冬眠状態で水底でじっとしています。

水温20℃〜28℃
 動きが活発になり、エサを積極的に食べる温度です。

水温30℃以上
 動きが鈍くなり、餌を食べる量も減っていきます。

フナをはじめとする魚は変温動物であり、体温と水温はほぼ連動して変化していきます。
水温が不適切であったり変化が大きいと弱ってしまったり最悪の場合は死に至る場合があります。

これは体の中にある様々な活動に関係する化学反応の速度が混乱してしまうためですね。

一般的に化学反応は温度が高いほど早く、低ければ遅くなります

生体内の化学反応もこのような温度依存性があてはまるのですが、反応速度はなんでもいいから早くすればいいというものではありません。

それは、複雑な反応経路のバランスがあり、それを保つことが大事なんですね。

そのためにはある一定の温度の幅を維持しなければなりません。

自然界における魚の体温調節方法

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そこで、魚は常に自分にとって適切な水温の方へ移動する、あるいは不適切な水温から逃避することで自分の体温を維持しようとします。

このように場所を変えることによる体温調節を「体温調節行動」といいます

これは魚だけでなく、ミミズや昆虫を含めて多くの変温動物で見られる反応ですね。

フナの体温調整方法

湖沼の場合
 湖面の水温が高い場合、水温の低い深い場所へ移動します。

河川の場合
 日陰の澱みに移動したり、湧水が沸いていて水の流れがある場所へ移動します。

魚は温度の違いに敏感

多くの魚は温度変化に対して敏感であり、その差はわずか0.03〜0.05℃でも感知することができます

多くの水槽用の電子温度計は小数点一桁までしか表示しないことを考えると、魚はこの10倍も感度がいいいことになります。

男の子
男の子

さすがは水のプロですね。

温度変化と神経細胞

脊椎動物には、温度変化によって活動が変化する神経細胞は存在しています。

それは「温感受性ニューロン」と呼ばれており、温度が上がると興奮する「温感受性ニューロン」と温度が下がると興奮する「冷感受性ニューロン」があります。

いずれも温度の上下を感知すると活性化する神経ですね。

このような温度受容は、それぞれの受容器がありますが、魚には見つかっていません。

おそらく魚の場合は全身に広がっている神経の末端部分にある末端神経がその役を担っていると考えられていますね。

温度による代謝の変化

呼吸や消化といった生体内の反応のほとんど全てに酵素の働きが関わっています。
そして、酵素による反応は温度に強く影響されていきます。

魚の場合は水温=体温になりますので、飼育している水温が魚の内部で行われている化学反応速度を決めていると言えます。

先生
先生

例えば、水温が高いとエサや酸素がより多く必要になるのはよく知られています。
これはまさに魚の体内で化学反応速度が大きくなるからですね。

温度が生命活動にどのように影響するかというと、「Q10の法則」というものがあり、生物は体温が10℃の上昇で2倍になることが知られています。

つまり水温が10℃上がることになるだけで魚の酸素の消費量が2倍になるということです。

例えば、冬場は水温が20℃の水槽があり、これが夏場に水温が30℃まで超えたとします。
その場合、夏場の代謝速度は単純に2倍になり、エサや酸素の消費量が多くなります

夏場はエサや酸素を十分に与えないと酸欠や栄養失調になってしまうのはこれが理由ですね。

まとめ

と言うことで、今回は魚の生理学的な水温に対する反応について解説していきました。

先生
先生

人間とは異なり周りの環境に合わせて体温と代謝が変化する生物です。
飼育を行う際には注意が必要ですね。

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