【外部形態】魚体の各部の測定

生物学

今回は魚の各部分の測定について解説していきます。

魚類の育成状況を判断するために、体色や遊泳行動などの肉眼観察に加えて、体長や体重の測定が行われます。

飼育や育成環境下では魚同士のスレや水槽への衝突、
栄養状態に伴い形態に異常がある個体が見られることがあります。

その際の形態観察を行うことがあります。

計測部位について

硬骨魚類は種類も多く、多数の硬骨を有しており、軟骨魚類に比べて測定項目も多いです。

今回紹介する指標以外にも体重や鰭数、鰭条数、鰭条骨数、幽門垂数などがあります。

全長

体の最前端よりも最後端までの長さ。

計測の前端は最前端であれば上下顎どちらでもよいですね。

後端は、尾鰭の開閉可能な魚では尾鰭をすぼめさせます。
糸状の伸長部分を含めた尾鰭の上葉または下葉の最後端をとります。

詳しくはこちらで解説しています「体長の計測方法(全長)」

尾叉長

吻端から尾鰭湾入部内縁中央までの長さ。

計測の腰部の起点は体長と同様です。

詳細はこちらでも解説しています。「体長の計測方法(尾叉長)」

体長(標準体長)

吻端(上顎前端)から脊柱の末端までの長さ。

次に紹介するのは標準体長になります。
下顎が上顎より出ている魚種では、上顎の吻端から測定していきます。

測定後端の脊柱末端は尾鰭の基底でもあることから、
尾鰭を強く曲げることによってできる折れ皺のところを計測の末端とします。

詳細はこちらで解説していいます。「体長の計測方法(標準体長)」

頭長

吻端から鰓膜の最後縁までの長さ。

背鰭前部長

吻端から背鰭または第一背鰭の起点までの長さ。

肛門前部長

吻端から肛門の中心までの長さ

体高

体の最高部での高さ。

最高部の位置は個体差や生理状態の違いによる変異もあるため、
腹部の形が変化しにくい腹鰭の付け根から体の背縁までの距離と規定することも多いです。

尾柄高

尾柄部の最低の長さ。

尾柄長

臀鰭基底の後端から尾鰭基底の中央までの長さ

背鰭基底長

背鰭基点(第一鰭条基底の前端)から基底の後端(最終鰭条の基底後端)までの長さ。

その後ろに続く鰭膜部分は含めません。
背鰭が2基または3基に分かれている場合はそれぞれを図ります。

臀鰭基底長

臀鰭基底の後端から基底の後端までの長さです。

背鰭同様に臀鰭が2基または3基に分かれている場合はそれぞれを図ります。

吻長

吻端から眼の前端までの長さ。

上顎長

上唇の最前点(前上顎骨)から主上顎骨の後端までの長さ。

両目間隔

両眼の縁の最短距離になります。

眼径

眼の直径(角膜を横切る眼球の最大水平径)

計測方法

魚体の角部の測定には、魚の大きさによって様々な器具(巻尺、直定規、ノギス)が使用されます。

魚体の測定値は原則として点から点までの直線距離を表します。
したがって厚みのある部分では、通常の定規では長さを求めることが難しいです。

そのため、通常30cm以下の魚体では主にノギスが使われます。

ノギスの使い方

計測部位の両端にノギスを直接当てて2点間の距離を測定します。
さらに内部のメモリを用いることで、0.1mm単位の数字まで見ることができます。

計数の手段

体長さに対する魚の体の各部の長さの比などの数値は同じ種類であっても、
成長段階の違いや生息している場所によって違いが出てきます。

このことによって測定の値は魚の種の特徴となるだけでなく、
種の変異の程度を知る手掛かりにもなります。

体の各部分の体長比を計算するだけでなく、
鰭の起点や骨の関節などを一つの指標としてそれぞれの点を結ぶ線を作ることで、魚の形態的特徴は、種の形態の比較にも活用されます。

近年はこの指標を設定したものをデジカメやコンピューターで解析して形態学の解析の精度を高めていますね。

参考文献
・日本産魚類検索-全種の同定- 著:中坊徹次
・魚学入門 著:岩井 保

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